マンションの住み替えは売却と購入を同時に行うため、計画性が成功のポイントです。
住み替えには売却を先に行い新居の購入をあとで行う「売却先行」と購入を先に行い、今まで住んでいたマンションの売却をあとで行う「購入先行」の2つの進め方があります。どちらの方法を選択するにしても住み替えの流れをよく理解し、費用の支払のタイミングをしっかりつかむ必要があるのです。
本記事ではマンションの住み替えでかかる費用と、支払いがいつ発生するのかを解説します。
マンションの住み替えの際、売却と購入はどちらが先がよいですか?
マンションの住み替えでは、売却を先に行う方がよいです。売却を先に行うと、新居の購入の前に手元に資金があるので、いくらの物件を購入できるかが明確になります。購入を先行させると売却額がいくらになるのか決まらないまま新居を購入するので、資金計画が立てづらく適正な価格の物件を購入できないことがあります。
売却と購入にかかる諸費用は、住み替えの計画段階で用意しておくべきですか?
売却と購入にかかる諸費用は、住み替えの計画段階で用意しておく必要はありません。売却と購入にかかる最初の費用は、売却と購入ともに売買契約の段階で発生します。売却の場合は印紙税と仲介手数料、購入の場合は印紙税と物件の5〜10%に相当する手付金を支払います。
住み替えにかかる費用は事前に計算が可能ですか?
住み替えにかかる費用は売却額と購入額がわかれば事前に計算が可能です。不動産会社に支払う仲介手数料や印紙税、譲渡所得税、住宅ローン手数料などは売却価格や購入価格によって金額が変わるので、これらの金額がわかった段階で費用が算出できます。
マンションの住み替えの流れ
マンションの住み替えには売却と購入の2つの流れがあるため、それぞれを理解する必要があります。
売却と購入を並行して進める
住み替えの流れは以下の通りです。
住み替えの流れ(売却先行の場合) | |
売却 | 購入 |
1.査定依頼 | 1.物件検討 |
2.資金計画 | |
3.媒介契約・販売活動 | 3.情報収集・物件内覧 |
4.売買契約(売り) | 4.売買契約(買い) |
5.買主ローン審査待ち | 5.決済・引渡し(買い) |
6.引っ越し | |
7.決済・引渡し(売り) | 7.新生活開始 |
資金計画と引っ越しは売却と購入の両方の流れに関係します。
資金計画を立てるには、不動産会社の査定額から売却額の予測を立て、どれくらいの物件を購入するのかを検討しなくてはいけません。
また、売却先行で住居を売ったあと、引き渡し日までに退去する必要があるのですが、引き渡しまでに新居が決まっているとは限りません。そのときは、仮住まいを用意する必要があり費用が発生します。
売却時の費用の支払い発生タイミング
売却で売主に費用が発生するタイミングは、物件の売買契約が成立したときで、印紙税と仲介手数料の半金の支払いを行います。売却ではこの支払いが最初の出費です。
また、売却にかかるその他の費用には、引っ越し代や物件の引き渡しに必要なハウスクリーニング代などがあります。これらの費用は売却代金が支払われる前に発生します。
購入時の費用の支払い発生タイミング
購入で費用の支払いが最初に発生するタイミングは、売買契約を締結するときです。この時に必要な費用は、印紙税と当日に支払う手付金です。
手付金は物件価格の5〜10%を支払うのが一般的です。
売却と購入は同じ不動産会社がおすすめ
住み替えをする場合、売却の媒介契約を結ぶ不動産会社と新居の購入先の不動産会社を同じにすると比較的スムーズに事が運びます。費用の支払いや必要書類の提出の相談先が一本化されるので手間が省けます。
また、こちらの事情についてより深くコミュニケーションが取れるので、希望をかなえてもらいやすいのもメリットです。
マンションの住み替えで旧居の売却にかかる費用
住み替えをする際は、住んでいたマンションの売却にかかる費用を事前に抑えておくことが重要です。
住んでいた家の売却には以下の費用がかかります。
項目 | 金額目安 | 支払先 |
---|---|---|
仲介手数料 | 物件価格400万円超で、売買金額の3%+6万円 | 不動産会社 |
印紙税 | 売買金額が1,000万円超5,000万円以下で1万円 | 郵便局等で購入 |
登録免許税 | 抵当権抹消=不動産1個につき千円 | 法務局 |
司法書士費用 | 抵当権抹消登記:1.5万円前後 | 司法書士 |
一括返済手数料 | 都市銀行で1~3万円程度 | 金融機関 |
引越し代 | 3人家族で500km未満:約5万円 2月~4月の繁忙期で20万円前後 | 引越し業者 |
譲渡所得税 | 売却益が3000万円超か、控除の特例を使えない場合、 所得税・復興特別所得税・住民税を収める。 | 国・自治体 |
仲介手数料
マンション売却の仲介手数料は、不動産会社のすべての業務に対する報酬で、法律で上限が設けられています。売却の場合、物件価格が400万円以上では、売却代金の3%+6万円の消費税が仲介手数料の上限です。仲介手数料は成功報酬なので売却が成立しなければ発生しません。
また、買取の場合は不動産会社が直接買主になるので仲介手数料は必要ありません。
無料に潜む落とし穴!?マンション売却で気をつけたい仲介手数料の注意点
登記費用等
売主に住宅ローンの残債が残っている場合は、売却代金で住宅ローンを完済し、金融機関の抵当権を抹消する必要があります。
そこで必要なのが抵当権抹消登記です。登記にかかる登録免許税は不動産1件につき1,000円で、マンションの場合は建物部分と土地部分で2,000円かかります。登記記手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、抵当権抹消登記を依頼する場合の費用の相場は16,000円程度といわれています。
また、相続する物件で名義が被相続人のままだったり、旧所有者の姓や住所が変わったりしている場合は、事前に別途費用を支払って現在の状況に書き換えておく必要があります。
税金
売却でかかる税金で金額の大きいものは譲渡所得税です。
税率は物件の保有期間で変動します。
【譲渡所得税の税率】
物件の所有期間 | 税率 |
---|---|
5年以内 | 39.63%(所得税30%・復興特別所得税0.63%・住民税9%) |
5年超 | 20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%) |
10年超のマイホーム (6,000万円以下の部分) | 14.21%(所得税10%・復興特別所得税0.21%・住民税4%) |
10年超のマイホーム (6,000万円を超える部分) | 20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%) |
(国税庁HPを参考に作成)
居住していたマンションを売却した場合は「マイホームを売ったときの特例」が適用され、売却益が3,000万円まで控除されます。
売却益で納税が発生した場合は、翌年の2月16日〜3月15日の間で確定申告が必要です。また、売却益が発生しなかった場合は確定申告は必要ありませんが、控除の特例を受ける場合は確定申告をしなければいけません。
マンション売却で抑えたい費用!手数料や税金の賢い節約術は意外と〇〇だった
その他の費用
売却するマンションの価値をあげて高値での売却を目指すために、建築士が物件を診断し状況を証明するインスペクションや掃除のプロが行うハウスクリーニングを依頼する場合に費用がかかります。インスペクションの相場は5〜6万円で、ハウスクリーニングは3DKで6〜7万円です。
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マンションの住み替えで新居の購入にかかる費用
住み替えを成功させるには、新居の購入にかかる費用を事前に抑えておくことが必要です。
新居の購入には以下の費用がかかります。
項目 | 金額目安 | 支払先 |
---|---|---|
仲介手数料 (中古物件を仲介で購入の場合) | 物件価格400万円超で売買金額の3%+6万円 | 不動産会社 |
印紙税 | 売買金額が1,000万円超5,000万円以下で1万円 | 郵便局等で購入 |
不動産登記費用 | 固定資産税評価額×税率(軽減措置有り) 司法書士手数料=所有権移転登記と抵当権設定登記を 合わせて10万円前後 | 法務局 司法書士 |
不動産取得税 | 固定資産税評価額×税率(軽減措置有り) | 都道府県 |
火災保険 | 5年一括契約で2万円~3万円程度 | 保険会社 |
住宅ローン 事務手数料 | 3~5万円程度、または借入額の2.2% | 金融機関 |
住宅ローン保証料 | 金利上乗せタイプの場合は「金利+0.2%」が主流 現金一括払いタイプ=3,000万円の借入で 約60万円~70万円程度 | 保証会社 (金融機関) |
固定資産税 (中古物件購入の場合) | 精算金として引渡し日以降の当年分を日割りで支払う | 売主 |
不動産取得税
マンションを購入したときは建物と土地に不動産取得税がかかります。
不動産取得税は取得してから原則60日以内に、取得した不動産の管轄である都道府県税事務所に申告しなくてはいけません。ただし、各自治体によって申告期限が違う場合があるので、各都道府県のホームページで確認してください。
また、不動産取得税には軽減措置があるため同時に申請を行います。不動産取得税の軽減措置は変更される場合があるので、詳細はその都度最新のものを確認しておきましょう。
住宅ローン関連
住み替えでマンションを購入するとき、新たに借入を起こす住宅ローンには事務手数料と保証料がかかります。
また、売却した家の住宅ローンが残ってしまう場合は、借り換えを行い新居の住宅ローンとまとめて支払うなど、売却段階から金融機関と連携して住み替えを進めるのが得策です。
金融機関との交渉は不動産会社を窓口にすると、比較的スムーズに運びます。
その他の費用
住み替えの際にかかるその他の費用には、リフォーム代や引っ越し代があります。
新居をリフォームする場合は、生活様式や好みに合わせて行いたいものです。リフォームの費用は、住み替えの計画段階から予算に組み込んでおくとよいでしょう。
また、住み替えの場合は一度仮住まいに引っ越してから新居に移る場合が多いです。しかし、引き渡しまでに新居への引っ越しを可能にしておけば仮住まいが必要がなく、引っ越しを一回で済ませられ費用を削減できます。
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マンションの住み替えにかかる費用のまとめ
住み替えは売却と購入を同時に行うため、スケジュールをしっかり組んで進めていくことが成功のポイントです。
さらに、信頼できる不動産会社と出会いコミュニケーションを密にして取り組めば、満足のいく住み替えにつながるでしょう。
また、買取の場合は住み替えのプロセスが大幅に簡単になるので、時間と手間を多くかけられない方は検討する価値があります。
住み替えで新居の準備はいつまでにするのがよいですか?
住み替えで新居の準備は旧居の引き渡しまでに準備ができているのが理想です。引き渡しまでに新居への引っ越しを済ませられれば、仮住まいをする必要がなく費用を削減できます。
売却と購入のそれぞれで最初の費用支払いはどのタイミングですか?
売却も購入も売買契約の段階で最初の費用の支払いが発生します。
所有権移転登記の注意点はなんですか?
相続などで名義が被相続人のままだったり、姓名や住所の変更があったりした場合は、所有権移転登記を済ませる前に現在の名義に変更する必要があるので注意が必要です。
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