住宅ローンの返済が負担となる中、オーバーローンのリスクは見逃せません。特に購入から日が浅い状況での売却はローン残高がその価値を上回る状況になりやすく、売却や返済が困難になることも。
この記事では、オーバーローンとは何か、そのリスクや回避策とは何か、売却時の対処法まで詳しく解説します。安心して住まいを守るために、住宅やリフォームのローンの正しい知識を身につけましょう。
オーバーローンの基本とは【定義と仕組みを解説】

そもそも、「オーバーローン」とは何なのでしょうか?
オーバーローンとは、住宅ローン残高が住宅や土地の価値を上回る状態を指します。売却してもローンの全額を返済できず、返済が難しくなることがあります。逆に売却額で残債を返してもお金が残る状態を、アンダーローンと言います。
また、オーバーローンにはもう一つ別の意味があり、不動産を購入する際に購入価格以上の借り入れを起こし、諸費用やリフォーム費用などに充てることも意味しますので、注意しましょう。
オーバーローンだと売却できない?
オーバーローンの状況では、仮に物件を売却してもローンの全額を返済できないという問題が発生します。その場合は、売却後もローン残債が残り、返済が困難になるため、売却を金融機関が認めない、もしくは売却しても残債が大きくなるリスクがあります。
オーバーローンにおいては、売却時に次のようなリスクが考えられます。
- ローン残高が物件の売却価格を上回るため、差額を自己資金で補う必要がある
- 売却後もローンが残るため、次の住まいの購入や新しいローン契約が難しくなる
- 金融機関が売却に同意しない場合、物件の売却そのものが不可能になる
どんなときにオーバーローンが発生しやすい?
住宅や土地の売却価格がローン残高を下回る状態は、購入価格以上の借り入れが原因で発生することもあります。では、具体的にどのような状況でオーバーローンが発生するのか、代表的な例を見ていきましょう。
離婚
夫婦共同で住宅ローンを組んでいる場合、離婚の財産分与のために住宅を売却するケースがあります。この際、住宅の市場価値が購入時よりも低くなっていると、売却しても残債が残ってしまい、オーバーローンの状態に陥ることがあります。
特に、片方の収入に依存していた場合、離婚後の収入減少により、返済が難しくなるリスクが高まります。
経済困難
突然の収入減少やリストラなど、経済困難に直面した場合の売却でも、オーバーローンが発生しやすくなります。住宅ローンの返済が難しくなったために家を売却しても、ローンを完済できない場合は銀行と話し合って任意売却を選択することもあります。
経済困難によりローンの延滞が続くと、物件の差し押さえや競売による強制売却が行われることもあり、この際には売却価格が更に低く設定されてしまうため、それを防ぐための任意売却です。
相続
相続で住宅を受け継いだ場合、その住宅がローン付きであれば、相続人がオーバーローンのリスクを負うことがありえます。いわゆる負の遺産を相続した形ですが、相続人は物件を売却してもローンを完済できない状況に直面します。
転勤や住み替え
転勤や住み替えで急遽住宅を売却する際、市場価値が下がっているとオーバーローンが発生します。例えば、住み替えや転勤によって売却を急ぐ場合、購入価格以上の借り入れがあった場合、売却価格がローン残高を下回る可能性が高くなります。
さらに、転勤先で新たな住宅を購入する場合、既存のオーバーローンが次の住まいの購入に影響を及ぼすことも考えられます。
具体例の比較表
以下は、オーバーローンが発生する具体的なケースとその要因をまとめた表です。
ケース | 主な要因 | オーバーローン発生のリスク |
---|---|---|
離婚 | 住宅ローン共同契約者の収入減少、家の売却価格の低下 | 売却価格がローン残高を下回る可能性が高い |
経済困難 | 収入減少、ローンの延滞、物件の差し押さえ | 強制売却時に低価格での売却となり、ローンが残るリスクが高まる |
相続 | 相続した物件の市場価値がローン残高を下回っている | 売却してもローンが完済できない状況になる |
転勤・住み替え | 急な売却による市場価格の変動、短期的な価格下落 | 売却価格が購入価格以上の借り入れをカバーできない場合が多い |
オーバーローンのリスク

オーバーローンが発生すると、物件を売却してもローンが返済しきれず、困難に陥ることがあります。このリスクを回避するためには、定期的な市場価値のチェックや、早期の金融機関との相談が重要です。また、リスケジュールや借り換えローンを利用することで、返済計画の見直しが可能です。
オーバーローンがもたらす売却時の問題点
売却価格がローン残高を上回らないため、物件を売却してもローンの一括返済ができないことが主な問題です。この項では、オーバーローンがもたらす売却時の具体的な問題点について詳しく解説します。
1. 残債を一括返済する必要が出る
ローン残高が2,000万円で、売却価格が1,500万円だった場合、500万円の不足分を自己資金で補填する必要があります。このような状況は一括返済が難しくなるため、売却そのものを躊躇せざるを得ない状況を生み出します。
2. 金融機関との交渉が必要
オーバーローンの状態で住宅を売却する場合、金融機関との交渉が不可欠です。通常、住宅ローンは売却と同時に一括返済することが求められますが、オーバーローン状態ではそれが不可能なため、金融機関に残債の処理方法や分割返済の許可を求める必要があります。この交渉が成立しない場合、売却そのものが困難になることもあります。
3. 追加資金の調達が必要
売却価格がローン残高をカバーできない場合、不足分を補うためや、新居にかける予算のための追加資金を調達する必要があります。これは、自己資金から補填するか、あるいは新たなローンを組むなどの手段が考えられますが、経済的に余裕がない場合、さらなる負担となります。
4. 売却後も返済が続く可能性
オーバーローン状態では、売却後も借り換えたローンの返済が続くことがあります。住宅を手放したにもかかわらず、残債の返済のためのローンを支払い続ける必要があるため、生活費や他の支出に対する影響が大きくなります。このような状況は、特に経済的に困窮している場合に大きな問題となり得ます。
5. 売却時の問題点をまとめた表
以下は、オーバーローンがもたらす売却時の問題点をまとめた表です。
問題点 | 説明 |
---|---|
売却価格がローン残高を下回る | 売却してもローンの一括返済ができない |
金融機関との交渉が必要 | 残債処理のために金融機関と分割返済の交渉が必要 |
追加資金の調達が必要 | 売却価格が不足するため、自己資金や追加ローンの必要が生じる |
売却後も返済が続く | 住宅を手放してもローンの返済が残り、経済的負担が増加する |
支払いができなくなってしまうと?
経済困難でローンの支払いがストップすると、様々な問題が発生しますが、日々の金策やオーバーローン対応の煩わしさから、金融機関との相談を怠った場合、競売などの最悪のシナリオが進行します。ここでは、支払いが停止した際に何が起こるのか、具体的なプロセスやその影響を詳しく解説します。
1. 延滞の発生
住宅ローンの支払いがストップすると、まず延滞が発生します。延滞が続くと、金融機関からの督促状が届き、支払いを再開するよう促されます。この時点では、延滞金や利息が追加されるため、元の残債が増えるという問題が生じます。延滞を放置することで、さらに返済が難しくなるケースが多く、早急な対応が求められます。
そして早ければわずか6か月ほどで、期限の利益の喪失を通知され、残債の一括返済を求められます。この時点で多くは債権が金融機関から保証会社に移ります。
2. 信用情報への影響
延滞が続くと、信用情報機関に記録され、いわゆる「ブラックリスト」に登録される可能性があります。この状況では、新たなローンやクレジットカードの契約が難しくなり、金融活動が大幅に制限されることになります。オーバーローン状態では、返済が困難になることが多く、信用情報に悪影響を及ぼすリスクが高まります。
3. 競売手続きの開始
延滞が8から9か月にわたって続くと、金融機関は競売手続きを開始します。競売とは、債務者が支払いを行わない場合、金融機関が住宅を強制的に売却し、残債を回収するための手続きです。競売にかけられた住宅は、市場価格や任意売却よりも低く売却されることが多く、残債はもっとも多く残ることになります。
4. 残債の支払い義務
競売によって住宅が売却されても、残債がすべて完済されることはほぼありません。競売で1,500万円で売却された住宅に対して、ローン残高が2,000万円だった場合、500万円の残債が発生します。この残債は、住宅を失った後も支払い続ける義務が残り、経済的な負担が一層増えることになります。
5. 法的措置のリスク
残債の支払いが難しい場合、金融機関は法的措置を講じることがあります。これは給与の差し押さえや財産の差し押さえを意味し、生活に大きな影響を与える可能性があります。ローンの支払いがストップした場合、法的措置が取られるリスクを理解し、早期に対策を講じることが重要です。
6. 支払いがストップした際の影響をまとめた表
項目 | 説明 |
---|---|
延滞の発生 | 延滞金や利息が追加され、元の残債が増える |
信用情報への影響 | 信用情報に傷がつき、ブラックリストに登録されるリスク |
競売手続きの開始 | 住宅が強制的に売却され、売却額が残債を上回らないことが多い |
残債の支払い義務 | 競売後も残った残債を支払い続ける必要がある |
法的措置のリスク | 差し押さえなどの法的措置が取られ、生活に深刻な影響を与える |
オーバーローンのリスクを下げる方法とメリット

オーバーローンのスクを下げるためには、事前にいくつかの具体的な対策を講じることが重要です。ここでは、オーバーローンを避けるための具体的な対策を紹介します。
1. 自己資金を増やす
オーバーローンを避けるためには、自己資金を増やして頭金として投入することが効果的です。頭金が多ければ借入額が減少し、結果として売却時のローン残高が低く抑えられます。
したがって、将来の住宅価値が下がっても、ローン残高が住宅の市場価値を上回るリスクを減らせます。理想的には、物件価格の20%程度の頭金を用意することが望ましいとされ、頭金が20%あれば、借入時の金利も優遇されることが多いでしょう。
あるいは、売却までにまだ期間が取れそうな場合、売却を数年延ばして返済を進めることで、残債を残さずに売却できる場合があるでしょう。
2. 物件選びに慎重になる
物件の選び方もオーバーローンを避けるための重要なポイントです。市場価値が安定しているエリアや、将来的に価値が上がる可能性がある物件を選ぶことで、売却時に住宅の市場価値が下がりにくくなります。
また、新築物件よりも中古物件を選ぶことで、購入時点で市場価格との差が少なく、オーバーローンのリスクを軽減することが可能です。
3. ローンの借入額を適正に設定する
住宅ローンの借入額を適正に設定することも、オーバーローンを防ぐための重要な対策です。収入に対して過大な借入を行うと、返済負担が大きくなり、経済的な余裕がなくなるリスクが高まります。借入額を適正に設定するためには、自身の収入や支出を正確に見積もり、無理のない返済計画を立てることが重要です。
4. ローンの返済計画を見直す
定期的にローンの返済計画を見直すことも、オーバーローンを避けるための有効な手段です。市場金利が下がった場合には、借り換えのローンを利用して金利を引き下げ、返済負担を軽減することができます。また、ボーナスや収入増加が見込まれる場合には、繰り上げ返済を行い、ローン残高を減らすことでオーバーローンのリスクを下げることができます。
5. 定期的に住宅の市場価値をチェックする
住宅の市場価値を定期的にチェックすることで、オーバーローンの残債がどのくらい生じるかを察知することができます。市場価値が下がり始めた場合には、必要に応じて売却を検討することで、オーバーローン状態に陥る前にリスクを回避できます。また、価値が下がりにくい地域の物件を購入することも、リスクを減らすための有効な戦略です。
また、基本的には購入間もない物件は新築同様の価格での売却は難しいため、オーバーローンの発生を避けるのは難しいと考えましょう。
以下に、オーバーローンを避けるための具体的な対策をまとめた表を示します。
対策 | 説明 |
---|---|
自己資金を増やす | 頭金を増やし、借入額を抑えることでローン残高を低く保つ |
物件選びに慎重になる | 将来の市場価値が安定しているエリアや物件を選ぶ |
借入額を適正に設定する | 収入に見合った無理のない借入を行い、返済負担を軽減する |
ローンの返済計画を見直す | 市場金利の変動や収入増加に応じて、返済計画を調整する |
定期的に市場価値をチェックする | 住宅の価値が下がる兆候を早期に察知し、対策を講じる |
住宅ローン返済が難しくなった場合の対処法

オーバーローンとは、住宅の市場価値がローン残高を下回る状態を指し、返済が難しくなる状況を引き起こすことがあります。このような状況では、早めに適切な対処を講じることが重要です。ここでは、返済が困難になった場合に取るべき具体的な対処法について解説します。
1. 金融機関との相談・返済条件変更
返済が難しくなった場合、まず最初にすべきことは、金融機関に相談し、返済条件の変更を依頼することです。これは「返済条件変更」とも呼ばれ、毎月の返済額を減らしたり、返済期間を延長することで、負担を軽減する方法です。
金融機関との交渉によって、無理のない返済計画を再設定することが可能です。特に、収入が一時的に減少した場合や、生活費の負担が増えた場合に有効な手段です。
2. 借り換えの利用
借り換えとは、現在の住宅ローンを新しいローンに借り換えることで、金利を引き下げたり、毎月の返済額を減らす方法です。金利が低下している時期や、他の金融機関でより有利な条件が提示されている場合、借り換えを検討することがよいでしょう。借り換えにより総返済額を減少させることができます。
3. 任意売却の検討
経済困難などで、どうしてもローンの返済が難しい場合、任意売却を検討することが有効です。任意売却とは、金融機関の同意を得た上で、住宅を市場価格で売却し、その売却代金をローンの返済に充てる方法です。
競売とは異なり、市場価格に近い価格での売却が可能であるため、残債を増やさない効果が期待できます。任意売却を行うことで、損失を最小限に抑えながら住宅を手放すことができます。
任意売却を利用した場合、信用情報に金融事故として記載される関係で、新居のための借り入れが困難になりますが、新居の引っ越し費用や賃貸の費用などを借り入れできる場合があります。また、残債も減額する交渉ができることもあります。
4. 公的支援制度の活用
さらに、返済が難しくなった場合には、公的な支援制度を利用することも検討しましょう。政府や地方自治体が提供する住宅ローン返済支援制度などを活用することで、一時的な支援を受けることが可能です。これらの制度を利用することで、経済的な困難を乗り越え、返済を続ける手助けを受けられます。
オーバーローンの状態で返済が難しくなった場合、早めに金融機関に相談し、返済条件変更や借り換え、任意売却といった対処法を検討することが重要です。
これらの対処法を適切に活用することで返済負担を軽減し、経済的な損失を最小限に抑えることができます。また、公的支援制度の利用も視野に入れることで、安心して住宅ローンの返済を続けることができるでしょう。
以下に、返済が難しくなった場合の主要な対処法を比較した表を示します。
返済が困難になった場合の対処法
対処法 | 説明 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
返済条件変更 | 返済期間を延長したり、毎月の返済額を減らす方法 | 負担を軽減し、返済を継続できる | 返済期間が延びることで総返済額が増える可能性 |
借り換え | 金利や条件の良いローンに借り換え、返済負担を軽減 | 金利を下げることで総返済額を減らせる | 手続きや手数料が発生し、条件が悪化する場合もある |
任意売却 | 市場価格で住宅を売却し、その売却代金をローン返済に充てる | 市場価格で売却でき、損失を最小限に抑えられる | 残債が残る可能性がある |
公的支援制度 |
「公的支援制度」に関しての説明、メリット、デメリットも表の中に入れてください
不動産のオーバーローンに関するよくある質問

この記事のおさらいを兼ねて、オーバーローンに関するよくある質問をご紹介します。
Q1. オーバーローンとは具体的に何ですか?
オーバーローンとは、住宅ローンの残高が住宅の市場価値を超える状態です。この状況では、物件を売却してもローン全額を返済できず、売却後に残債が残ることがあります。例えば、ローン残高が2,000万円で、物件の売却価格が1,800万円の場合、200万円のオーバーローンが発生します。
Q2. オーバーローンが発生する原因は何ですか?
オーバーローンは、返済開始後早期の売却や住宅の市場価値が低下した場合、購入時に借入額が高すぎた場合に発生しやすくなります。
Q3. オーバーローン状態でも売却は可能ですか?
オーバーローン状態でも売却は可能ですが、ローン残高を全額返済できない場合、金融機関との交渉が必要です。残債が発生した場合、その差額を自己資金で補うか、任意売却を行うことが選択肢となります。
Q4. オーバーローンの返済が難しい場合、どのような対策がありますか?
オーバーローンの返済が難しくなった場合、以下の対策が考えられます。
- 返済条件の変更
金融機関に相談し、返済期間の延長や毎月の返済額を減らす「返済条件変更」を行います。 - 借り換えローンの利用
現在のローンを金利の低い別のローンに借り換えることで、返済額を減らすことができます。 - 任意売却
任意売却は、金融機関の同意を得て市場価格で住宅を売却する方法です。
Q5. オーバーローンをなるべく防ぐ方法はありますか?
オーバーローンを防ぐためには、以下の対策が有効です。
- 適切な頭金の用意
頭金を増やすことで、借入額を抑え、将来的なリスクを軽減できます。 - 慎重な物件選び
オーバーローンで残債を少なくするには、あらかじめ市場価値が下がりにくいエリアや物件を選びましょう。 - ローンの借入額を適正に設定する
収入に見合った借入額を設定することで、返済に無理のないローンを組むことができます。
まとめ

オーバーローンの定義やリスク、対処法について詳しく解説しました。オーバーローンは住宅ローンを抱える方にとっては大きなリスクとなります。しかし早く売却したい事情はどうしても生じてしまうでしょう。
初めて住宅ローンを組む方は、事前にオーバーローンのリスクと対策を知っておきましょう。正しい知識を持ち、慎重な資金計画を立てることで、住宅購入や売却を安心して進めることができます。
すばやく、高く、知られずに売却するお手伝いは、プロレバ不動産にお任せください。買取のお相談は、どんなことでもお気軽に!