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資産価値のない家でも大丈夫!相続後にできる8つの具体的な対処法
いらない親の家を売却・活用するときの注意点
不動産売却や土地・建物の活用にはある程度のコストがかかります。
築年数が古く当時の売買契約書がない建物や、隣地との境界があいまいな土地はさらに高額な費用がかかる可能性が高いので、以下の点には十分に注意してください。
基本的に相続登記が必要
相続した土地・建物が被相続人名義(亡くなった親名義)のままでは、売却処分・活用ともにできません。
遺言書がなければ遺産分割協議によって相続人を決定し、法務局で相続登記しておく必要があります。
相続登記は不動産の所在地を管轄する法務局に申請するので、以下の書類を揃え、できるだけ早めに手続きを済ませてください。
【遺産分割協議を行った場合の必要書類】
- 相続登記申請書
- 登記事項証明書
- 遺産分割協議書
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 不動産を相続する人の住民票
- 固定資産評価証明書
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
相続登記申請書は法務局窓口、または法務局ホームページから入手できます。
登記事項証明書も法務局窓口に発行申請できますが、費用が安いのはネット申請・窓口受取り(1通480円)です。
参考:不動産登記の申請書様式(法務局)
参考:登記事項証明書の請求(法務局)
マンション売却で忘れがちな必要書類を徹底チェック!これで準備は完璧
測量が必要なケースもある
空き家を売却処分または活用する際、土地の測量が必要になるケースもあります。
隣地との境界があいまいな土地はトラブルが発生しやすいので、法務局から地積測量図を取り寄せ、土地の情報が現況どおりになっているか必ず確認しましょう。
地積測量図と現況が違う、または地積測量図がない場合、境界確定の測量が必要になります。
一般的な宅地は30~50万円程度の測量費になりますが、早めに解決しなければ売却処分や活用はできません。
不動産の売却益(譲渡所得)には譲渡所得税がかかる
不動産の売却処分によって発生した利益を「譲渡所得」といい、以下の計算がプラスになれば譲渡所得が発生するため、譲渡所得税が課税されます。
取得費や譲渡費用には仲介手数料や印紙代などが含まれており、購入当時の売買契約書や関係書類で確認できます。
譲渡所得税の税率は不動産の所有期間によって変わりますが、親の家であれば長期譲渡の税率になるケースが多いでしょう。
- 不動産の所有期間が5年以下(短期譲渡):39.63%
- 不動産の所有期間が5年超(長期譲渡):20.315%
譲渡所得税がかかる場合、実家を売却した年の翌年2月16日から3月15日までに確定申告しなければなりません。
なお、本記事の後半では不動産相続や譲渡に活用できる特例・控除を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
【節税のカギは特別控除にあり!】マンション売却益の計算と控除方法をチェック
取得費不明の不動産は譲渡所得税が高額になる可能性あり
取得費(購入価格)がわからない不動産を売却する場合、「売却価格×5%」を取得費とするルールが適用されるので注意が必要です。
たとえば、相続した実家を3,500万円で売却し、取得費3,000万円、譲渡費用300万円がかかっていたとすると、譲渡所得は以下のようになります。
譲渡所得:3,500万円-(3,000万円+300万円)=200万円
しかし、土地・建物の取得費がわからなければ、譲渡所得が以下のように跳ね上がります。
譲渡所得:3,500万円-(3,500万円×5%)-300万円=3,025万円
では、長期譲渡の税率20.315%で税額を計算してみましょう。
- 土地と建物の取得費がわかっている場合:200万円×20.315%=40万6,300円
- 土地と建物の取得費がわからない場合:3,025万円×20.315%=614万5,288円
取得時期が古い不動産は売買契約書が見つからないケースが多いので、高額な税金がかかる可能性が高いでしょう。
5%ルールは困ります・・・何とかして取得費を調べられないですか?
当時の売買契約書がない場合、国税庁が公表する「建物の標準的な建築価額表」や、一般財団法人日本不動産研究所が公表している「市街地価格指数」を参考にできます。詳しくは不動産会社や税理士に問い合わせてみましょう。
空き家は解体した方がよいケースもある
親の家の立地条件などにより、家屋を解体して土地だけにした方が売却処分しやすいケースもあります。
木造の家であれば坪あたり3~5万円の解体費用になりますが、重機や大型トラックが入りにくい場所は高額になる可能性があるので、見積りをよく確認してください。
全員が相続放棄すると相続財産管理人の選任が必要
全員が相続放棄した不動産は最終的に国庫へ帰属しますが、複雑な手続きを経ることになるため、相続財産管理人を選任するケースが一般的です。
相続財産管理人の選任は家庭裁判所へ申し立てますが、数十万~100万円程度の費用がかかるので、相続放棄が最善策かどうか十分に検討する必要があります。
親の家を相続するときに活用したい特例や非課税措置
不動産を相続または譲渡する場合、一定要件を満たせば以下の特例や非課税措置を利用できます。
節税効果がかなり高いので、土地や建物、相続人の適用要件を必ず確認しておきましょう。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例を利用して実家を相続すると、土地(敷地)の評価額を80%減額できます。
適用面積は330㎡(約100坪)までとなっており、一般的な住宅は土地全体を減額できる可能性が高いので、以下の要件や必要書類も参考にしてください。
小規模宅地等の特例の適用要件
小規模宅地等の特例を利用する場合、原則として配偶者、または同居していた法定相続人(子供)が実家を相続しなくてはなりません。
相続税の申告期限日(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)まで住んでいる必要があるので、すぐに売却しないように注意してください。
小規模宅地等の特例は相続税申告も要件となっているため、相続税がかからなくても税務署への申告は必要です。
なお、別居中の子供であっても、持ち家がなく社宅や賃貸マンションなどに暮らしていた場合は、小規模宅地等の特例を利用できるケースがあります。
小規模宅地等の特例の必要書類
相続した実家の敷地に小規模宅地等の特例を利用する場合、税務署への申告時には以下の書類を提出します。
- 相続税申告書
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 遺言書または遺産分割協議書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書を提出する場合)
- 不動産を相続する人の住民票
【被相続人が老人ホームに入居していた場合】
- 被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始日以降に作成されたもの)
- 入居時の契約書や要介護認定証、介護保険の被保険者証の写しなど
本来、被相続人は相続発生直前まで実家に住んでいなければなりませんが、要介護認定証などがあれば、老人ホームに入居していても特例を利用できます。
ただし、老人ホームへの入居中に自宅を第三者などに貸していた場合、特例を利用できなくなる可能性があるので注意してください。
【参考】令和4年分の相続税申告書の様式(国税庁)
相続空き家を売却したときの3,000万円特別控除
相続した空き家を売却処分する場合、一定要件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できます。
2023年(令和5年)5月31日に終了となる制度ですが、利用できれば節税効果は大きいので、家屋の要件や必要書類を参考にしてください。
相続空き家の3,000万円特別控除の適用要件
この相続空き家の特例を利用する場合、以下の要件をすべて満たしている必要があります。
- 相続または遺贈により取得した居住用財産であること
- 被相続人が相続発生直前まで居住していたこと
- 被相続人以外に居住していた人がいないこと
- 令和5年12月31日までに売却すること
- 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること
- 売却価格が1億円以下であること
- 区分所有登記されている建物は不可(マンション等)
- 建物解体後の敷地を賃貸していないこと(駐車場等)
- 確定申告すること
相続した実家の建築日が昭和56年5月31日以前だった場合、耐震補強して売却するか、解体後の土地だけを売却することになります。
なぜ昭和56年5月31日以前に建築された家屋が対象なのですか?
空き家特例には旧耐震基準の家屋の増加を抑止する目的があります。昭和56年5月31日以前の旧耐震基準では、震度6以上の大規模地震に耐えられない可能性があるためです。
親が要介護認定を受けて相続発生直前まで老人ホームに入居しており、入居中に実家を賃貸などに利用していなければ特別控除の対象になります。
相続空き家の3,000万円特別控除の必要書類
相続空き家の特例で3,000万円控除を受ける場合、空き家を売却処分した年の翌年2月16日~3月15日の間に、以下の書類を揃えて確定申告します。
- 被相続人居住用家屋確認確認書(市区町村役場に申請)
- 相続した空き家を売却した場合の特例チェックシート
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】(5面)
- 土地と建物の売買契約書の写しおよび登記事項証明書
- 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し(建物を解体していれば不要)
役場に被相続人居住用家屋確認確認書を交付申請する場合、亡くなった方の住民票除票や売買契約書の写しなどが必要です。
被相続人が老人ホームに入居していた場合は要介護認定証等も必要になるので、役場の担当窓口に確認してください。
【参考】令和4年分の確定申告書等の様式(国税庁)
【参考】相続した空き家を売却した場合の特例チェックシート(国税庁)