近年多発する「地面師事件」。不動産売買を装い、巧妙な手口で巨額の詐欺を働く犯罪集団が後を絶ちません。警視庁管内だけでも、この数年の被害届は50件に及んでいます。特に「積水ハウス地面師事件」は55億5,000万円という莫大な被害額を生み、不動産業界に大きな衝撃を与えました。
本記事では、地面師の手口や過去の有名事件を一覧で紹介し、詐欺を見破る方法や法的対応策を解説します。不動産投資家、企業関係者、法律専門家必見の内容です。
地面師とは?手口と詐欺の仕組み

実在する土地の所有者になりすまして不動産を売却し、巨額の金銭を騙し取る詐欺師のことを地面師といいます。地面師は偽造書類や架空の人物を用いて取引を装い、巧妙な手口で資産を狙います。
【不動産取引の落とし穴】地面師の定義と歴史
地面師とは?
地面師は、他人の土地を違法に売却する目的で、偽の契約書や身分証を用い、詐欺行為を働く犯罪者を指します。日本では明治時代から地面師事件が急増しており、近年でも多くの企業や個人が被害に遭っています。地面師は巧妙な手口を駆使し、企業や投資家を狙い、高額な詐欺を働きます。
地面師詐欺の歴史
地面師事件は江戸時代から存在しており、時代とともに手口が進化してきました。以下の表にその変遷をまとめます。
時代 | 主な特徴 | 代表的な手口 |
---|---|---|
江戸時代 | 武士や商人が偽の証文を使い土地を売却 | 偽証文による土地売買詐欺 |
明治〜昭和初期 | 戸籍や登記制度の未整備を悪用 | 偽造登記や架空地主の利用 |
戦後復興期 | 地価の上昇に伴い詐欺が急増 | 偽の土地所有者を仕立てて売却 |
バブル期(1980〜90年代) | 企業や投資家を標的にした大規模詐欺 | 高額な不動産取引を悪用 |
現代(2000年以降) | AI技術の発展で書類偽造が精巧化 | 企業や海外投資家をターゲット |
なぜ地面師詐欺は発生するのか?
地面師による詐欺事件は、長年にわたって繰り返されています。その背景には、不動産取引の特性や法制度の隙を突く手口が存在することが挙げられます。なぜ地面師事件が発生し続けるのか、主な要因を解説します。
1. 高額な取引が行われるため、詐欺のリスクが高い
不動産は一件あたりの取引額が非常に大きく、数億円から数十億円規模の取引が日常的に行われます。そのため、地面師が成功すれば、短期間で莫大な利益を得られるのが魅力です。
要因 | 説明 |
---|---|
取引額の大きさ | 一件で数億円単位の詐欺が可能 |
現金化のしやすさ | 売却後に短期間で資金を移動できる |
ターゲットの多様化 | 企業・投資家・個人など幅広い |
2. 書類の偽造が容易で、取引が短期間で進む
地面師は、権利証や登記簿、本人確認書類などを巧妙に偽造し、まるで本物の取引のように装います。また、不動産取引はスピードが重視されるため、買主側が慎重な確認を怠るケースも少なくありません。
- 偽造書類の高度化:最新の技術を駆使して精巧な偽造書類を作成
- 偽の人物の用意:専門の役者を雇い、地主や関係者になりすます
- 短期間での契約締結:急いで売却を装い、買主に即決を促す
3. 不動産所有者の情報管理が不十分
長期間放置されている土地や、相続問題が未解決の土地などは、真の所有者と連絡が取れない場合が多く、地面師にとって格好の標的になります。特に、高齢者の所有する不動産や、相続登記が未了の土地は狙われやすい傾向があります。
最近の動向と新たな手口
地面師詐欺は時代とともに進化し、新たな手口が次々と登場しています。特に、デジタル技術の発展により書類の偽造が高度化し、地面師事件の摘発がより困難になっています。近年の事件一覧を分析すると、従来の手法に加え、新たな手口が使われていることが明らかになっています。
1. AI・デジタル技術を活用した偽造手口
最新の地面師詐欺では、AIを使った本人確認書類の偽造や、電子契約を悪用した手口が増えています。
手口 | 詳細 |
---|---|
偽造書類の精巧化 | AIを利用した本人確認書類の偽造、登記情報の改ざん |
電子契約の悪用 | 電子署名を偽造し、オンライン上で契約を成立させる |
SNSやネット広告での勧誘 | 被害者をインターネット上で誘導し、詐欺取引へ誘い込む |
2. 外国人投資家を標的にした手口
近年の事件一覧では、海外の投資家や企業をターゲットにした詐欺が急増しています。地面師は、日本の不動産市場に詳しくない外国人を狙い、偽の不動産取引を持ちかけるケースが多発しています。
- 日本の土地売買システムを知らない投資家を狙う
- 言葉の壁を利用し、契約内容を理解させないまま取引を進める
- 偽の通訳者を用意し、契約を正当化する
3. 組織化された詐欺グループの関与
従来、地面師は個人または小規模なグループで活動していましたが、最近の事件では詐欺グループが組織的に関与するケースが増えています。
- 不動産会社や司法書士を装ったメンバーを用意
- SNSや暗号資産を利用して資金洗浄を行う
- 複数の偽装人物を使い、より信憑性の高い取引を演出
【一覧表】過去の有名な地面師事件

地面師による詐欺事件は、過去に何度も発生しており、企業や個人が巨額の被害を受けています。以下に、代表的な地面師の暗躍例を事件一覧で紹介します。
事件名 | 被害額 | 主な手口 | 特徴 |
---|---|---|---|
積水ハウス地面師事件 | 約63億円 | 偽造書類・成りすまし | 日本最大級の被害額 |
16億円地主白骨遺体事件 | 約16億円 | 偽装取引・土地売却 | 殺人事件とも関与 |
昭和の地面師事件 | 不明 | 登記偽造・詐欺師の組織化 | 法整備の不備を悪用 |
積水ハウス地面師事件(被害額:約55億円)
事件の概要
2017年に発生した「積水ハウス地面師事件」は、日本の地面師事件一覧の中でも最大級の被害額を記録した詐欺事件です。大手不動産会社・積水ハウスが東京都品川区五反田の老舗旅館「海喜館」(うみきかん)敷地の土地取引を巡り、偽の地主を名乗る地面師グループに手付金を含む取引額63億円の大部分である55億5千万円を騙し取られたことで、大きな社会的注目を集めました。
事件の流れと手口
この事件では、地面師グループが巧妙な偽造書類を用意し、不動産取引を装って積水ハウスを騙しました。
時期 | 事件の流れ |
---|---|
2017年4月 | 地面師グループが「土地の所有者」を名乗り、積水ハウスと交渉を開始 |
2017年6月 | 偽造書類を使用し、売買契約を締結。積水ハウスが約63億円を支払う |
2017年7月 | 法務局で所有権移転ができないことが判明し、詐欺事件が発覚 |
2018年以降 | 関係者の逮捕が進むが、詐取された資金の一部は回収不能 |
この地面師事件では、偽の所有者を用意し、精巧な印鑑証明や身分証を作成することで、積水ハウスのチェックをすり抜けることに成功しました。
事件の影響と対策
積水ハウスの地面師事件は、日本の不動産業界に大きな影響を与え、企業のリスク管理や本人確認の厳格化が求められるきっかけとなりました。また、Netflixのドキュメンタリーや報道番組でも取り上げられ、地面師詐欺の実態が広く知られるようになりました。
不動産取引においては、以下のような対策が必要です。
- 所有者の本人確認を慎重に行う(複数の公的機関で確認)
- 土地の登記情報を最新のものと照合する
- 契約の際には弁護士や専門家を介在させる
16億円地主白骨遺体事件(資産家女性の悲劇)
事件の概要
2016年に東京都新橋で発生した「16億円地主白骨遺体事件」は、地面師事件一覧の中でも特に悪質な詐欺と殺人が絡んだ衝撃的な事件です。
被害者は高齢の資産家女性で、長年所有していた不動産が地面師グループによって勝手に売却されました。さらに、女性は行方不明となり、後に白骨遺体として発見されました。
事件の経緯と手口
この事件では、地面師が被害者を殺害または死亡を隠蔽した上で、土地を不正に売却するという極めて悪質な手口が使われました。
時期 | 事件の流れ |
---|---|
2014年頃 | 被害者である資産家女性(高齢)が行方不明になる |
2017年 | 被害者所有の不動産が勝手に売却される |
2018年 | 地面師グループの関与が疑われ捜査開始 |
2020年 | 新橋の土地を巡る取引で16億円の不正売却が判明 |
2021年 | 被害者の白骨遺体が発見され、殺人事件としても捜査 |
この事件の最大の特徴は、単なる地面師詐欺ではなく、資産家女性の生死に関わる重大犯罪が結びついていた点です。
事件の影響と対策
16億円地主白骨遺体事件は、不動産の所有者が不在であることを悪用し、地面師が詐欺を働くケースの典型例となりました。特に、以下のような問題点が浮き彫りになりました。
- 高齢の不動産所有者が狙われやすい
- 登記情報の管理が不十分で、第三者が容易に書類を偽造できる
- 相続問題が絡むケースでは、真偽の確認が遅れやすい
その他の有名事件と特徴(大手企業・個人被害事例)
地面師による詐欺事件は、企業や個人を狙ったさまざまな手口で発生しています。ここでは、大手企業が巻き込まれたケースと個人が被害を受けた代表的な事件を紹介します。
溜池「アパホテル」事件
東京都港区溜池で発生した地面師事件で、大手ホテルチェーン「アパホテル」の用地購入をめぐり、詐欺グループが不正に利益を得ようとしたケースです。
事件名 | 手口 | 被害額 | 特徴 |
---|---|---|---|
溜池「アパホテル」事件 | 偽の所有者を使った売買契約 | 不明(詐欺未遂) | 企業の土地取得を悪用 |
この事件では、アパホテルが新規出店を計画していた114坪の土地に対し、地面師グループが偽の地主を用意し、12億円の不正な契約を進めようとしました。しかし、取引の最終段階で不審な点が発覚し、詐欺未遂として摘発されました。
富ヶ谷「台湾華僑なりすまし」事件
東京都渋谷区富ヶ谷で発生したこの事件は、地面師が台湾華僑の資産家になりすまし、不動産を勝手に売却しようとしたケースです。
事件名 | 手口 | 被害額 | 特徴 |
---|---|---|---|
富ヶ谷「台湾華僑なりすまし」事件 | 偽造パスポート・印鑑証明 | 数億円規模 | 海外資産家を標的 |
この事件では、地面師グループが台湾在住の華僑資産家になりすまし、所有する114坪の高級不動産を売却しようとしました。
- 偽のパスポートや印鑑証明を作成
- 偽造された公的書類を使い、土地の所有者になりすます
- 不動産取引を急かし、契約を成立させようとする
幸いにも、本人確認プロセスで詐欺が発覚し、事件は未遂に終わりましたが、海外の投資家だけでなく、海外在住の不動産所有者も狙われやすいことを示す典型的な事例です。
地面師の詐欺手口と見破る方法

地面師は、不動産取引の隙を突き、偽造書類や成りすましを駆使して詐欺を働きます。近年の事件一覧を見ても、その手口は巧妙化しており、企業や個人が被害に遭うケースが後を絶ちません。
地面師を見破る方法としては、不動産登記簿の最新情報を確認し、公的機関を通じた本人確認を徹底することが重要です。不動産取引では、慎重なチェックと専門家の助言が不可欠です。
地面師が使う巧妙な偽装手段
地面師は、不動産取引を装って詐欺を働くために、高度な偽装手段を駆使します。事件一覧を分析すると、本人確認を突破するための偽造技術や、公的書類の改ざんが多用されていることが分かります。以下に、代表的な偽装手段をまとめます。
1. 偽造身分証・印鑑証明の使用
地面師は、偽の住民票や運転免許証、パスポートを作成し、本人確認を突破します。さらに偽の実印に対する印鑑証明書を偽造し、本物の所有者になりすますケースもあります。
偽装手段 | 詳細 |
---|---|
偽造身分証 | 他人の情報を使い、偽の免許証やパスポートを作成 |
印鑑証明の偽造 | 法務局で取得した書類を改ざんし、正規の所有者を装う |
成りすましの人物を用意 | 「地主役」を演じる人物を用意し、取引を成立させる |
2. 偽の登記簿謄本を作成
登記情報は通常、法務局で取得できますが、地面師はこの情報を悪用し、なりすましのほかに偽の登記簿を作成して売却の正当性を演出する場合があります。
- 実際の登記簿をコピーし、所有者情報を書き換える
- 登記済みの土地と似た名前や住所の実物の書類を使い、買主を混乱させる
- 地面師グループ内の司法書士を利用し、偽造書類を作成する
3. 本人確認のすり抜け手法
近年では、デジタル技術を活用した本人確認が強化されていますが、地面師は以下のような手口でそれをすり抜けます。
- 「急いでいる」と強調し、簡易な本人確認で取引を成立させる
- 高齢の所有者になりすまし、銀行や不動産業者を騙す
- 実在の土地所有者の代理人を名乗って、契約を進める
詐欺被害に遭わないためのチェックポイント
地面師による詐欺は巧妙であり、一見正規の不動産取引のように見えます。事件一覧を見ても、企業や個人が偽装された契約に騙されているケースが多発しています。ここでは、地面師詐欺の被害を未然に防ぐための重要なチェックポイントを紹介します。
1. 所有者情報の確認を徹底する
地面師は、偽の身分証や登記簿を用意して成りすまします。取引前に、本物の所有者であるかどうかを慎重に確認することが重要です。
チェック項目 | 内容 |
---|---|
登記簿謄本の最新情報を取得 | 法務局で最新の登記簿謄本を確認 |
本人確認を複数回実施 | 免許証・住民票・印鑑証明の照合 |
第三者の専門家を介在 | 弁護士や司法書士に本人確認を依頼 |
2. 取引を急かされる場合は要注意
地面師は、「早く契約しないと他の買主に取られる」といったプレッシャーをかけ、冷静な判断をさせないようにします。本来一般の売主から「早い者勝ち」というような言葉は出ません。
- 不自然に急かされる取引は慎重に対応
- 市場価格より安すぎる物件は要注意
- 即日決済や現金払いを要求される場合は詐欺を疑う
3. 売買契約前に現地確認を行う
地面師は、所有者が長期間不在の土地を狙うケースが多いため、現地確認は必須です。
- 所有者本人と現地で面談し、本人確認を行う
- 近隣住民に聞き込みをし、本物の所有者を特定する
- 過去の土地売買履歴や所有者の相続状況を調査する
不動産取引のリスクを回避する方法
地面師による詐欺事件は、不動産取引の確認不足や手続きを急ぐことが原因で発生します。事件一覧を見ても、登記簿の偽造や本人確認の甘さが被害につながっていることがわかります。ここでは、不動産取引でリスクを回避するための具体的な方法を紹介します。
1. 所有者の本人確認を徹底する
地面師は、偽の身分証や印鑑証明を用意してなりすまします。所有者の身元確認を慎重に行い、複数の手段で検証することが重要です。
チェック項目 | 方法 |
---|---|
登記簿の取得 | 最新の登記簿謄本を法務局で確認 |
本人確認 | 顔写真付き身分証と住民票の照合 |
印鑑証明 | 本人が取得した最新のものを要求 |
近隣住民の聞き取り | 所有者の過去の居住歴や人柄を確認 |
2. 現地確認を徹底する
地面師事件一覧を見ても、所有者が長期間不在の土地を狙うケースが多いため、現地確認は必須です。
- 土地の管理状況や所有者の居住履歴を調査する
- 売主本人と現地で面談し、直接確認を取る
- 周囲の住民に話を聞き、所有者の過去の動向を確認
地面師詐欺に遭ったらどうする?法律と対応策

地面師による詐欺被害に遭った場合、迅速な対応が重要です。事件一覧を見ても、早期の法的対応が損害回復の鍵となります。
1. 速やかに警察へ被害届を提出
地面師詐欺は刑事事件に該当するため、まずは警察へ被害届を提出し、捜査を依頼します。証拠となる契約書や登記情報を整理し、詐欺の経緯を詳細に説明することが重要です。
2. 弁護士に相談し、損害賠償請求を検討
詐欺によって金銭的被害を受けた場合、地面師に対して損害賠償請求が可能です。また、取引に関与した仲介業者や司法書士の過失が認められる場合、法的責任を追及できます。
3. 登記の差し止め申請を行う
詐欺により土地が不正に移転された場合、裁判所に登記の差し止めを申し立てることで、土地の権利移転を防ぐことが可能です。
地面師による詐欺に遭ったら、警察・弁護士・裁判所と連携し、迅速な対応を取ることが被害回復の鍵となります。
被害届を出す際のポイント
地面師詐欺に遭った場合、速やかに警察へ被害届を提出することが重要です。事件一覧を見ても、早期に届け出た事例では、詐欺グループの逮捕や一部資金の回収に成功しているケースがあります。適切な手続きを踏むことで、被害の拡大を防ぐことができます。
1. 必要な証拠を揃える
警察に被害届を出す際は、詐欺の証拠となる書類をできるだけ多く準備する必要があります。
必要な証拠 | 詳細 |
---|---|
契約書・領収書 | 売買契約や支払いの記録 |
登記簿謄本 | 最新の登記情報を取得 |
相手とのやり取り | メール・LINE・通話記録など |
本人確認書類 | 地面師が使用した偽造書類のコピー |
2. 迅速に警察へ相談する
被害に気づいたら、すぐに警察へ相談することが重要です。被害額が大きい場合は、警視庁の「知能犯係」や専門の詐欺対策部署に相談するのが効果的です。
- 事件の経緯を時系列で整理し、詳細に説明する
- 相手の特徴や関与者の情報を提供する
- 被害額や詐欺の手口を明確に伝える
3. 弁護士と連携し、民事訴訟も検討
警察への届け出だけでなく、弁護士と相談し、損害賠償請求や登記差し止めの手続きを進めることも重要です。特に、地面師がすでに土地を転売している場合、法的手続きを迅速に進める必要があります。
法律的な対処方法(損害賠償請求・刑事責任)
地面師による詐欺被害を受けた場合、民事と刑事の両面で法的対応を進めることが重要です。事件一覧を見ても、迅速な対応が被害回復につながっています。ここでは、損害賠償請求と刑事責任の追及について解説します。
1. 損害賠償請求(民事訴訟)
地面師に騙され、金銭的被害を受けた場合、民事訴訟で損害賠償を請求できます。
対象者 | 請求内容 | 必要な証拠 |
---|---|---|
地面師本人 | 被害額の返還 | 契約書・支払記録・登記情報 |
関与者(司法書士・仲介業者) | 過失責任の追及 | 取引記録・通信履歴 |
被害額を証明できる資料を揃え、弁護士を通じて訴訟を進めることが重要です。
2. 刑事責任の追及(詐欺罪など)
地面師の行為は詐欺罪(刑法246条)に該当し、刑事告訴を行うことで警察が捜査を開始します。
罪状 | 内容 | 罰則 |
---|---|---|
詐欺罪 | 財産を騙し取る行為 | 10年以下の懲役 |
有印私文書偽造罪 | 偽の登記簿や印鑑証明を使用 | 3年以下の懲役 |
警察へ被害届を提出し、捜査の進行状況を弁護士と確認しながら進めることが重要です。
3. その他の法的手続き
- 不正な所有権移転を阻止するための登記差し止め請求
- 犯人の財産を凍結する仮差押えの申立て
詐欺による登記は無効になると民法では定められていますが、迅速な手続きを促すために、差し止め請求を行いましょう。
売買の意思確認にも注意
地面師による詐欺事件では、真の売主の売買を含む意思確認が不十分なまま取引が進められるケースが多く見られます。事件一覧を分析すると、所有者の意思能力や代理人の正当性を確認しないまま契約を締結し、詐欺被害に発展している例が多くあります。
1. 売主の意思能力を確認する
不動産の売買契約を締結する際、売主本人の意思能力があるかどうかを確認することが重要です。特に、高齢の所有者や長期間不在の土地の取引では、地面師が本人に成りすましたり、判断能力の低下を悪用する可能性があります。
確認項目 | チェックポイント |
---|---|
売主の健康状態 | 高齢者や判断能力の低い人が売主でないか |
契約の意思 | 売主本人が納得して契約しているか |
代理人の正当性 | 売主の意思に基づく正式な委任か |
2. 代理人による契約のリスク
地面師は、偽の代理人を立てて売買契約を進める手口をよく使います。「売主は海外にいる」「高齢のため代理人が対応する」などの説明には特に注意が必要です。
- 代理権を証明する書類(委任状、公証人認証書類)を確認
- 売主本人と直接面談し、契約の意思を確認
- 司法書士や弁護士を介して意思確認を行い、正当性を検証
3. 本人確認の徹底
地面師事件一覧を見ても、本人確認が不十分なまま契約が進められた事例が多いことが分かります。不動産取引では、売主が本当に土地の所有者であり、意思を持って売却しているかを慎重に確認することが不可欠です。
必要な確認 | 方法 |
---|---|
登記簿謄本の取得 | 最新の登記情報を取得し、所有者を確認 |
身分証のチェック | パスポートや免許証の真偽を確認 |
公的機関の照会 | 法務局や市区町村で本人確認を徹底 |
まとめ

地面師による詐欺事件は、不動産業界や投資家にとって深刻なリスクとなっています。本記事では、過去の有名事件一覧をもとに、地面師の手口や最新の動向、詐欺を見破る方法を解説しました。
不動産取引においては、本人確認の徹底、登記簿の最新情報確認、契約の慎重な精査が不可欠です。企業や個人が詐欺被害を防ぐためには、法律的な知識を身につけ、専門家と連携することが重要です。常に最新情報をチェックし、安全な取引を心がけましょう。
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