不動産のリースバックとは、自宅を売って売却益を得たのち、その家に家賃を払いながら住み続けることができる取引手法です。
リースバックはすばやくまとまった資金を調達でき、引っ越しをしなくてもよいという長所がある反面、自宅の所有権がなくなり家賃を支払わなければならないという短所があるので、慎重に検討しなければいけません。
本記事はリースバックのメリットとデメリットや他の売却手段との違いについて解説します。
リースバックを使って不動産を売却する人の目的には、どんなものがありますか?
リースバックを使う人の主な目的は、住宅ローンの早期返済、生活費、老後資金、相続対策などです。
リースバックはすぐに現金化できるのですか?
リースバックは1カ月以内に現金化可能です。不動産会社が買い取る仕組みなので、一般の売却よりも早く現金を手にできます。
リースバックは不動産用語ですか?
リースバックは不動産以外でも使われる用語です。リースバックとは所有しているものを売却して資金を調達したのち、そのままリース契約して使用料を払いながら使い続ける取引の全般を指します。リースバックは不動産だけでなく、自動車や企業の機械設備などでも行われています。
不動産のリースバックとは
不動産のリースバックは自宅を売却して、そのあとすぐに売却先とその家の賃貸契約を結ぶため、資金を調達した上でその家に住み続けられる手法です。
不動産のリースバックの仕組みは以下の通りです。
- 売主は持ち家を売却しまとまった金額を得られ、家賃は発生するもののそこに住み続けることができる
- 買主は買い取った物件から収益が出るように利回りを計算し、賃貸契約を結ぶ
このように不動産のリースバックは、自宅を現金化したい売主と買い取った物件で長期的な収益をあげたい買主との間に成り立っている仕組みです。
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不動産のリースバックのメリット・デメリット
不動産のリースバックは、自宅を現金化しその家に住み続けられるという利点がありますが、自宅の所有権がなくなってしまい家賃が発生するという短所があります。
不動産のリースバックを利用する前に、メリットとデメリットをしっかり把握しておく必要があります。
メリット
不動産リースバックを利用するメリットは4つです。
- 自宅を現金化し資金を得られる
- 売却しても住み続けられる
- 住居の固定費が減る
- 相続や離婚で財産分与がしやすい
- 資金使途が自由
自宅を現金化し資金を得る
まとまった資金を調達することで、住宅ローンやその他の負債を清算できます。
また、老後資金を確保のためにリースバックを利用する人もいます。
短期間で現金を必要としている場合に有効です。
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売却しても住み続けられる
リースバックの仕組みを使えば、売却後にそのまま住み続けられます。
引っ越しをする必要はありません。
また、周囲に知られずに売却が可能です。
住居の固定費が減る
住まいが自分の所有物ではなくなるので、固定資産税や管理費、修繕積立金などの支払いがなくなり住居に関わる固定費が減少します。
相続時や離婚時に財産分与しやすい
相続や離婚などで自宅の財産分与を行う際にリースバックを利用すると、不動産を現金化して分けやすくなるのでトラブルになりにくいです。
財産分与のために売却して現金化してもそのまま住み続けられるので、自宅の財産分与に効果を発揮します。
資金使途が自由
リースバックで得た資金は、住宅ローンの返済や老後資金だけでなく、子供の教育資金や事業資金など、自由に使うことができます。
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デメリット
不動産リースバックのデメリットは以下の4つです。
- 自宅の所有権がなくなる
- 住み続けられるとは限らない
- 住宅ローンの残債の清算が必須
- 家賃が発生する
- 売却価格が相場より安くなる可能性がある
自宅の所有権がなくなる
リースバックを利用して自宅を売却すると所有権がなくなるので、売却後に家の資産価値が上昇してもその恩恵を受けられません。
また、リースバックで資金を調達後は、不動産という担保能力を失ってしまいます。
住み続けられるとは限らない
リースバックは買い手と結んだ賃貸契約が、期限付きの「定期借家契約」だと契約期間満了時に契約更新が必要です。
定期借地権契約は満了時に自動的に終了するため、再契約に関しては買主と売主が改めて合意を結ぶ必要があります。
ここで契約の更新がなされないと住み続けられなくなります。
ずっと住み続けたい場合はリースバックの契約時に「普通借家契約」を締結する必要があります。
リースバックの契約をする際は、内容や条件を慎重に検討しなければいけません。
住宅ローンの残債の清算が必須
住宅ローンの残高が残っている物件は金融機関の担保になっているので、売却した金額で住宅ローンの残債を清算できない場合は、リースバックが成立しません。
ただし、リースバックの契約の際に住宅ローンを買主が引きつぐ形を取れば、成立する場合もあります。
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家賃が発生する
リースバックで自宅を売却したあとは、家賃が発生します。
通常の家賃は立地や築年数、間取りなどで価格が決まりますが、リースバックでは買い取った物件から収益を得るために、利回りを上乗せした家賃になるため相場より高いことが多いです。
家賃は、契約時に固定される場合と、定期的に見直される場合があります。契約内容をよく確認しましょう。
売却価格が相場より安くなる可能性がある
リースバックは、不動産会社が将来的に賃貸収入を得ることを前提としているため、売却価格は一般の売却に比べて安くなる傾向があります。
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不動産のリースバックと類似方法との違い
不動産を活用して資金を調達する方法は、リースバック以外にもいくつか存在しています。
リースバック | 自宅を売却して資金調達したあと、賃貸契約して住み続ける。 |
リバースモーゲージ | 自宅を担保に生活費の融資を受け、最後に売却して返済。高齢者が対象で金融機関ごとに年齢制限がある |
不動産担保ローン | 不動産を担保に融資を受ける。 |
買取 | 自宅を不動産会社に買い取ってもらい、売却益を受け取る。 |
不動産小口化商品 | 不動産を小口化して証券化し、投資家に販売する |
これらの方法は、目的に応じて使い分けます。
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リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは主に高齢者を対象に、自宅を担保に金融機関から生活費の融資を受ける手段です。
リースバックとの1番の違いは、所有権をもったまま資金調達ができることです。リバースモーゲージは高齢者が自宅を売却することなく老後資金を手に入れられます。
返済方法は生きている間は利息のみを払い続け、亡くなったあとに自宅を売却します。融資を受けた資金の使い道には一定の制限があり、事業資金や投資資金には使えません。
リバースモーゲージは、一定以上の評価額がつけられる都市部の立地のよい物件が対象です。
2024年現在、リバースモーゲージの利用条件が緩和され、より多くの人が利用できるようになっています。
不動産担保ローン
不動産担保ローンは自宅などを担保にして、金融機関から融資を受ける方法です。
この方法で資金を調達する場合は所有権は持ったままなので、完済すると金融機関の抵当権を抹消できます。
不動産担保ローンの場合は日々の暮らしにかかる諸費用に加え、融資の返済をしなければいけないので、生活を圧迫しないように家計のマネジメントをすることや無理のない返済計画を立てることが重要です。
不動産担保ローンの金利は、変動金利と固定金利があります。金利変動リスクを避けたい場合は、固定金利を選ぶと良いでしょう。
買取
買取は自宅を不動産会社に買い取ってもらい売却益を得る手法です。
買取もリースバックも不動産会社が直接物件を買い取るので、すぐに現金化できます。両方とも不動産会社が買い取りを行いますが、リースバックよりも買取の方が売却価格が高くなるのが一般的です。
なぜなら、買取は買い取った物件をそのまま売却して短期間で利益を得られるのに対し、リースバックは家賃収入による物件の利回りで、長期的に利益を確保する手法だからです。
また、買取は引っ越しが必要なので、住み替えが決まっている場合に適しています。買取価格は、不動産会社の査定によって決まります。複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討することが重要です。
不動産小口化商品
不動産小口化商品は、不動産を小口化して証券化し、投資家に販売する金融商品です。不動産を所有することなく、少額から不動産投資に参加できるというメリットがあります。売却益は分配金として受け取ることができます。
これらの方法は、目的に応じて使い分けます。
不動産のリースバックを行う際の注意点
不動産のリースバックは、自宅の売却を行って資金を調達するので、さまざまな注意点を考慮する必要があります。
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目的をはっきりする
リースバックを使う目的をはっきりさせるため、資金の用途が以下の項目にあてはまっているかを確認します。
- 老後資金を確保したい
- 住宅ローンを返済したい
- 相続対策をしたい
- 住み替えたい
- 事業資金を調達したい
老後資金を確保したい
自宅はあるものの生活費に不安がある状態で、売却後もそのまま住み続けたいという希望がある場合、リースバックは検討に値します。
引っ越しをしなくてもよいので、その分の費用を節約できます。また、周囲に自宅の売却を知られたくない人にとってもよい選択です。
住宅ローンを返済したい
住宅ローンの返済が負担となっている場合は、リースバックでローンの返済を検討してもよいでしょう。
ただし、現在の住宅ローン返済額よりもリースバック後の家賃の方が、安くならないと意味がありません。
相続対策したい
自宅を相続で遺産分与する場合に、現金化して均等に分けられるリースバックを遺産分与の方法に使ってもよいかもしれません。
また。家を相続した場合は10カ月以内に相続税を払わなければいけないので、リースバックで現金化して相続税の支払いに当てることもできます。
住み替えたい
住み替えにかかる費用を確保するために、リースバックの利用を検討してもよいでしょう。
リースバックなら引っ越しの準備が整うまで自宅に住み続けられる利点があります。以上の目的を達成したい場合は、リースバックを検討してもよいでしょう。
リースバックの目的が曖昧なまま利用してしまうと、問題解決につながらない場合があります。
利用目的を明確にして、リースバックを活用しましょう。
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事業資金を調達したい
事業資金の調達が必要な場合、リースバックは有効な手段の一つです。自宅を売却することで、まとまった資金を調達できます。
契約内容をよく確認する
リースバックを利用する場合は、複数の不動産会社の内容を検討します。
- 物件の査定額とその根拠
- 家賃
- 賃貸契約の内容
- 買戻し条件
- 仲介手数料
リースバックは契約後に金額や契約内容に不満があっても、クーリングオフによる解除ができません。
クーリングオフは買い手を保護する法律で、売り手には適用されないからです。契約する際は相手と内容をしっかりすり合わせてから、納得した上で締結しましょう。
契約書の内容は複雑で専門的な用語も多いため、理解できない部分があれば、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
将来を考えた受取資金と家賃を設定する
リースバックを利用するなら、自宅の売却による受けとり金額が多く、これから支払う家賃が少ない契約が理想です。
しかし、不動産会社は買い取りした物件から収益を得るために、家賃を売却価格の8〜10%で考えています。買取価格と家賃は比例するのです。
受けとる金額に重きを置くのか、買取金額は少なめでも家賃を安くする方をとるのかは重要な選択です。
この判断を誤ると、資金が不足してしまったり、家賃の支払いに苦しんだりする可能性があります。どちらが自分の目的にかなっているのか慎重に検討しましょう。
家賃は、将来の収入や支出を考慮して、無理なく支払える金額に設定することが大切です。また、家賃の改定条項についても確認しておきましょう。
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不動産 リースバック に関するまとめ
リースバックは上手に利用すれば、生活の立て直しや将来の備えに有効です。
ただし、リースバックを利用する前に、問題を解決するには何が1番効果的な方法なのか、他の手段も含めた検討が必要です。
また、リースバックを利用するなら、必ず複数の不動産会社を比較しましょう。
リースバックはどのような人に向いていますか?
リースバックはすぐにまとまった金額が必要で自宅を現金化したいが、今住んでいる家に一定期間住み続けたいと思っている人に向いています。
特に、住宅ローンの返済が困難な方や、老後資金に不安がある方にとっては、有効な選択肢の一つです。
リースバックとリバースモーゲージの違いはなんですか?
リースバックは自宅の所有権を売却して資金を得る方法で、リバースモーゲージは自宅の所有権を担保にして資金を調達し、亡くなったあとに売却して清算する方法です。
リースバックは家賃を払いますが、リバースモーゲージは債務の利息を支払います。リバースモーゲージは、金融機関から融資を受けるので審査があります。また、対象の物件も都心部の評価額の高いものに限られています。
リースバックは年齢制限がなく、資金使途も自由ですが、リバースモーゲージは主に高齢者向けで、資金使途が限定されています。
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