中古マンションを理想の価格で売却するには、訪問査定を受けた中から優秀で誠実な不動産会社と媒介契約を結ばなくてはいけません。そのためには査定を受ける際の注意点をよく理解して、親身になって売却を行ってくれる不動産会社を見極める方法を知る必要があります。
この記事では中古マンションの売却で損をしないための査定の重要なポイントを解説し、よい不動産会社を見分けるコツをお伝えします。
中古マンションの売却では、机上査定は行った方がよいですか?
中古マンションの売却では、机上査定は行った方がよいです。机上査定は一括サイトなどを利用すると簡単に複数の不動産会社が無料で行ってくれます。机上査定を受けた中から、査定額に妥当性のある会社に訪問査定を依頼してください。
訪問査定は何社くらい受けるとよいですか?
訪問査定は3〜6社ほど受けるとよいです。マンション売却を行った人のほとんどは、3社以上の訪問査定を受けています。あまり多くの会社から訪問査定を受けると、査定結果の精査に手間がかかり判断を鈍らせてしまう恐れがあるので、多くても6社以内にとどめておくのがおすすめです。
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中古マンション査定の流れ
中古マンションがいくらで売却できるのかを調べるために、不動産会社の査定を受けます。
中古マンションの査定は以下の流れで行います。
- 査定を依頼する
- 日程調整する
- 訪問査定を受ける
- 不動産会社を検討する
査定を依頼する
中古マンションの査定には、机上査定と訪問査定があります。
まず、机上査定を一括サイトなどを利用して複数の会社に依頼します。机上査定の結果が出そろったところで、机上査定を受けた中から訪問査定を依頼する会社を検討します。
机上査定の結果をもとに訪問査定を依頼する会社を選ぶポイントは、査定書に書かれた金額を比較するだけでなく査定額の根拠に妥当性があるのかを確認することです。
訪問査定を依頼する不動産会社は、3社以上に依頼するのが一般的です。
なお、机上査定と訪問査定は無料で受けられます。
日程調整する
訪問査定を依頼する会社が決まったら、不動産会社と日程の調整を行います。
訪問査定にかかる時間は1時間程度です。
複数の会社に依頼するのでしっかりスケジューリングしましょう。
訪問査定を受ける
訪問査定では不動産会社の担当者が、マンションの外観や共用部分の劣化状況、室内のコンディションなどの実際の状況を目で見て確認します。さらに、マンションの周辺環境や騒音などのトラブルの有無など、所有者にしかわからないことをヒアリングします。
また、訪問査定は媒介契約を結ぶ不動産会社を決めるために、担当者の人柄や仕事への熱意などを見定める機会でもあります。
不動産会社を検討する
訪問査定の結果は1週間から10日ほどで出ます。各社が提示した査定結果を比較して、媒介契約を結ぶ不動産会社を決定します。
査定結果を比較するときに重要なのは、査定額の根拠が明確であるかです。
不動産会社の中には、媒介契約をとるためにあえて相場より高額な査定額をつける不動産会社があります。しかし、査定額は実際売却できる価格とは限りません。
高額な査定額に惑わされることなく、納得できる根拠が示されている不動産会社を媒介契約の相手として選ぶことが重要です。
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中古マンション査定の事前準備
中古マンションの訪問査定は事前準備をして臨むと、より精度の高い査定が受けられます。
中古マンションの訪問査定の事前準備の内容は以下の通りです。
- マンション情報の整理
- 部屋の片づけと清掃
マンション情報の整理
訪問査定では不動産会社の担当者に、マンションについての正確な情報をを伝える必要があります。訪問査定を受ける前にマンションの情報が記載されている資料を準備しましょう。
訪問査定の前に準備する資料は以下の通りです。
本人確認書類 | 免許証や個人番号カードなど |
---|---|
登記謄本 | 法務局で入手可能 |
売買契約書・重要事項説明書 | 手元にない場合は不動産会社に要確認 |
管理費・修繕積立金の金額のわかる書類 | 支払額が記載された書類 |
管理組合規約・大規模修繕工事計画 | 共用部分の利用規約・修繕のための長期的な工事計画 |
修繕・リフォームなどの契約書 | 修繕やリフォームを行っている場合は必要 |
ローン残高証明書 | 年末時点のローン残高を証明する書類 |
また、訪問査定はマンション売却のプロにわからないことを質問できるチャンスなので、疑問点を箇条書きにしてまとめておいてください。
部屋の片づけと清掃
訪問査定の際はなるべく部屋の片付けや清掃を行ってください。不動産会社の担当者は部屋が片付いていなくても査定を行えますが、部屋がきれいな方がより正確な査定ができます。
担当者が訪問する前に空気の入れ替えなどをして部屋の印象がよくなれば、査定額はアップの可能性もあります。
中古マンションの査定額に関わる9つのポイント
不動産会社の担当者は中古マンションの査定額を算出するために、さまざまな角度からマンションをチェックします。
マンションの査定額に関わるポイントは以下の9つです。
- 築年数や構造
- 広さや間取り
- 立地条件
- 日当たりや眺望
- 内装や設備
- 共用部分の充実
- 管理体制の充実
- 修繕の適切さ
- 駐車場
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①築年数や構造
マンションの価値は築1年目から年数を追うごとに下落します。築年数が査定額に影響を与えるのです。
しかし、使用が丁寧でコンディションがよかったり、リフォームをしていたりする場合は、同じ条件の同じ築年数であっても査定の評価は上がります。劣化の少ない中古マンションは、相場に比べて査定額が高くなることがあります。
また、マンションの構造も査定額に影響します。構造の種類には「鉄筋コンクリート造」「鉄骨造」「木造」がありますが、「鉄筋コンクリート造」の査定額がもっとも高く出やすいです。
②広さや間取り
マンションの間取りも査定額に影響します。
需要の高い間取りは2LDKと3LDKです。2LDKは主に2人暮らし、3LDKは家族で住むのに適しています。
③立地条件
中古マンションの査定額は好立地であるほど上昇します。
「駅まで近い」「商業施設が近くにある」「学校や病院などの施設が近い」などの利便性はマンションの価値に影響します。
④日当たりや眺望
日当たりや眺望のよい物件は需要があり、中古マンションの査定額アップの要因です。
日当たりのよい物件は悪い物件に比べて査定額が15〜20%高いといわれています。
また、眺望のよい部屋は人気が高く、窓から見えるよい景色は住人の満足度を高めます。
⑤設備や内装
キッチンや風呂場など水回りの設備に不具合がないかは、査定額を決める上での重要なポイントです。
また、内装に高級システムキッチンなどが備え付けてある場合は査定額のプラスにはたらきます。
⑥共用部分の充実
オートロック、防犯カメラのセキュリティシステムや24時間利用できるゴミ捨てスペースなどは、住む人の安全性や利便性を高めるため、査定額に影響を与えます。
しかし、共用施設が必要以上に充実しすぎていて、管理費が上がってしまう場合はマイナス要因です。
⑦管理体制の充実
管理体制が充実している中古マンションは市場から評価されます。管理体制が充実している物件とは、管理組合の財政状況が安定していることがあげられます。
管理組合が適切に管理費や修繕積立金を徴収し、無駄な支出がない堅実な運営がなされていることは、マンションの価値を高めます。
⑧修繕の適切さ
マンションの共用部分の劣化を迅速に修繕しているかどうかも、査定額の評価の対象です。
外壁の汚れやタイルのひび割れなどがあると、見た目が悪くマンションの価値を下げてしまいます。そのような不具合にスピーディーに手を打っているマンションの査定額はアップします。
⑨駐車場
車の所有率の高い地域やファミリー向けのマンションでは駐車場があることは査定にプラスに作用します。
中古マンション査定で損をしないための5つの注意点
中古マンションの査定で損をしないためには以下の5つの点に注意してください。
- 査定時には部屋内をきれいに
- 査定前にリフォームは不要
- 自分でも相場を下調べ
- しつこい営業の業者は回避
- 査定額と最終的な売却額の相違
①査定時には部屋内をきれいに
訪問査定時には部屋をきれいにしておくと、査定額が上がります。掃除や空気の入れ替えをすると部屋の印象があがるのです。
また、中古マンションを売り出したあとは購入希望者の内覧があり、部屋がきれいでないと売却のチャンスを逃していまいます。なので、訪問査定を受ける頃からしっかり掃除や不用品の処分を行い、部屋をきれいにすることは中古マンション売却にとって得しかありません。
②査定前にリフォームは不要
売却しようと考えている中古マンションは、査定の直前にリフォームや修繕をする必要はありません。なぜなら、リフォームをしても費用をかけた分以上に売却益があがらないことがあるからです。
リフォームが売却に有効な場合は、訪問査定を行った不動産会社から提案があるので、その前にリフォームに着手してしまうと損をしてしまう可能性があります。
③自分でも相場を下調べ
査定を受ける前に、自分で中古マンションがいくらで売れるか相場を調べておくと売却活動において主導権を握れます。中古マンション価格の相場観をつかんでいれば、不動産会社にとって都合のよい査定額を提示されてもその価格に違和感を感じられ、不誠実な対応を見抜けるでしょう。
自分で中古マンション価格を調べるには、suumoとレインズマーケットインフォメーションを利用します。suumoは現在売りに出されている物件価格、レインズマーケットインフォメーションは実際の成約価格を調べられます。これらのサイトを使って類似物件を参考にすると、自分の所有する中古マンションの相場がわかるのです。
④しつこい営業の業者は回避
中古マンションの一括査定や訪問査定を受けたあと、しつこい営業を受けることがあります。
不動産会社は一括サイトや訪問査定にコストをかけて営業するチャンスを狙っているのですが、契約をとることができないと全く利益を得られません。そこで、媒介契約を得られない不動産会社はしつこく営業をかけてきます。
しかし、誠実で実力のある不動産会社は日頃から多くの媒介契約がとれているので、しつこい営業を行うことは多くありません。なので、しつこい営業をかけてくる業者はなるべく回避しましょう。
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⑤査定額と最終的な売却額の相違
不動産会社が提示する査定額は実際に売却できる価格とは限りません。査定額はあくまでも不動産売却のプロが算出した売却の予想額です。
最終的には、中古マンションの売主が価格を決定します。
マンションの売り出し価格は売主の事情によって変えられ、早く売却しなければならない場合は相場より安く設定したり、じっくり時間をかけられる場合は強気の価格をつけたりできるのです。
中古マンション査定を依頼するメリット
中古マンションを売却する場合、不動産会社に査定を依頼するメリットには以下のものがあります。
- 売り出し価格の設定の目安をはかれる
- 財産を公平に分配できる
- 資金計画を立てやすくなる
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売り出し価格の設定の目安をはかれる
中古マンションの訪問査定で不動産会社が提示した査定額は、マンションの売り出し価格を決めるときの目安です。不動産売却のプロが提示した査定価格といっても100%正しい価格ではありませんが、物件の固有の条件を加味しているのでかなり精度の高いものです。
その価格を売り出し価格の参考にできるので中古マンションの売却で訪問査定を依頼することは大きなメリットがあります。
財産を公平に分配できる
相続により中古マンションを相続人の間で分けるときも、不動産会社の訪問査定を受ければ無料で物件の査定額がわかります。
査定を依頼する場合は中古マンションを売却する意志があることが前提ですが、査定結果によって売却しないことを決断できるので気軽に査定を依頼できます。
中古マンションそのものを相続人で分けられませんが、査定により物件の価値がわかれば代償分割や換価分割で公平に分けられます。
資金計画を立てやすくなる
不動産会社から提示された査定額をもとに、売却にかかる経費と売却益を計算します。
売却にかかる主な経費は以下のものです。
- 媒介手数料
- 登録免許税
- 印紙税
- 譲渡所得税
売却益の目安がわかると、ローン返済のめどや新居の購入資金計画を立てやすくなります。
中古マンション査定額の算出方法
中古マンションの査定額の算出方法には以下の3つの方法があります。
- 取引事例比較法
- 収益還元法
- 原価法
取引事例比較法
居住用の中古マンションの査定は取引事例比較法で算出します。
取引事例比較法は以下の流れで物件で計算します。
- 類似物件取引事例の収集
- 価格変動や個別の事情による補正
- 立地や物件の個別要因を補正
類似物件取引事例の収集
査定対象となるマンションと似た条件を持つ他のマンションの取引事例を収集します。
取引事例を収集する際は、近隣地域や同一需給圏で取引された事例を選択します。
取引事例比較法で収集する事例は、投機目的で売買されたものは排除します。
価格変動や個別の事情による補正
収集した取引事例は、価格変動や個別の事情を補正して比較します。
例えば、売買が行われた時期が景気や需要の変動に影響を受けた場合、それを考慮して価格を補正します。また、「どうしてもほしい物件なので相場よりも高い値段でもいいから購入したい」などの個別の事情で生じた価格のズレも補正します。
立地や物件の個別要因を補正
取引事例の価格には、物件の立地条件や建物の特徴などの要素が含まれています。これらの要素が物件の査定に影響を与える場合は、価格の補正を行います。
例えば、「交通の便が良く、駅に近い場所に位置している」などの要因がある場合は、立地の価値を考慮します。また、「間取りが広い」「設備が充実している」などの物件の個別の要因も補正します。
収益還元法
中古マンションの家賃収入を目的とした査定は、収益還元法を用いて算出されます。この手法では、将来の家賃収入に基づく利益から現在のマンションの価値を評価します。
収益還元法には2種類のマンション価格を算定する方法があります。
- 直接還元法
- DCF法
直接還元法
直接還元法は1年間に得られる予想利益からマンションの価格を計算する方法です。
家賃収入÷還元利回り=収益価格(不動産価格)
DCF法
DCF法は一定期間の中古マンションの収益価格とマンションの売却価格の合計金額を、現在価値に割引して算出する方法です。
原価法
類似物件の比較ができない場合は、原価法を使用して査定を行います。
原価法では査定対象の物件を取り壊し、同じ物件を再建した場合の原価を計算したあと経過年数を考慮して査定額を算出します。
中古マンションの査定額を高くするコツ
中古マンションの査定額を上げるコツには以下のことがあげられます。
- マンションをきれいな状態で査定を依頼する
- 査定依頼のタイミングを考える
マンションを高額売却するためのノウハウについては以下の記事も参考にして下さい。
【参考記事】
【高額売却は〇〇が秘訣!】マンションを高値で売るためのポイントとノウハウを紹介
中古マンションの査定に関するまとめ
中古マンションの売却を成功させるには、訪問査定を受けた中から、査定額に明確な根拠があり熱心に売却を行ってくれそうな不動産会社と媒介契約を結ぶ必要があります。
優れた不動産会社を見抜くためには、事前準備は必須で、その中でも自分で中古マンションがいくらで売れるのかの相場観をつかんでおくことはもっとも重要です。
信頼して中古マンションの売却を任せられる不動産会社の担当者を選ぶことができれば、理想のマンション売却に近づけるでしょう。
不動産会社の訪問査定を受ける前に、リフォームや修繕を行っておいた方がよいですか?
不動産会社の訪問査定を受ける前に、リフォームや修繕は行わないでください。費用をかけてリフォームや修繕をしても、それが売却価格に反映されない場合があるからです。また、中古マンションの場合、買主がリフォームすることを前提で購入する場合もあります。
ウェブサイトで中古マンションの価格の相場は調べられますか?
ウェブサイトで中古マンションの価格の相場は調べられます。代表的なのはsuumoとレインズマーケットインフォメーションです。これらに掲載されている類似する物件を比較すると、おおよその価格がわかります。suumoは現在売りに出ている物件の価格、レインズマーケットインフォメーションは過去に実際に成約した取引価格を見られます。
中古マンションの査定は査定額そのものよりも、不動産会社選びが重要です。
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