マンション相続時の査定方法は?査定から相続の流れを解説

マンション相続時の査定方法は?査定から相続の流れを解説

親が所有するマンションを相続した場合、相続税は亡くなった翌日から10カ月以内に納めなければいけません。

そのため、限られた期間でマンションの売却をせまられるケースがあります。

また、遺産として受け取ったマンションの売却は、相続人同士で価値の共有や分割方法の話し合いをしておかないと、トラブルやもめ事に発展するおそれがあるのです。

そこで本記事ではマンション相続時の査定方法と、円滑に相続をすすめるための流れについて解説します。

相続したマンションの査定は必要ですか?

必要です。遺産を公平に分割するため、マンションの価値を正しく知る必要があるからです。

相続したマンションを売却するのと、住み替えなどでマンションを売却するのでは何が違いますか?

相続したマンションを売却するには、相続人の間でマンションの価値を共有し売却の合意をえなければなりません。相続税を10カ月以内に納めなければいけないので、早く売却したいと考える人が多いです。

目次

マンション相続の際には査定が必要

相続したマンションを公平に遺産分けするために、価値がいくらあるのか調べなければいけません。

そのためにはマンションの査定を行う必要があります。

【売却しなくてもOK】マンション査定をうまく活用するポイントが〇〇すぎる

相続の際に査定が必要な理由

マンションは現金や預貯金と違って、そのままの状態では分割して相続できません。

マンションを相続人の間で公平に分けるには、売却して現金化するか、誰か1人が相続し他の遺産は別の人が相続するなどして均等に分配する必要があります。

どのように分けるにしても、マンションの価値について相続人全員が知らなければいけません。

そこで、マンションの正しい価値の査定が必要なのです。

相続の際のマンションの査定とは?

相続が発生したときのマンション査定の目的は、相続人の間で遺産分割を話し合うため、実際に売却した場合どのくらいの価値があるかを知ることです。

マンションの査定は実際に市場で取引されている相場をもとに、似たような物件の同じエリアでの取引例やマンションの劣化、使用状態をチェックして価格を算出します。

相続するマンションの査定方法

相続するマンションの価値を調べるには、3つの方法があります。

  • 評価額を確認して自分で調べる方法
  • 不動産会社に査定してもらう方法
  • 不動産鑑定士が鑑定する方法

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評価額を確認する

マンションの評価額は建物部分と土地部分(持分割合)の合計で表されます。

マンションは建物部分だけでなく、マンションの敷地面積から割り当てられた土地も財産に含まれるのです。

マンションの評価額は公的機関が発表する指標をもとに自分で調べられます。

マンション評価額を調べる手順は以下の通りです。

  1. 固定資産税通知書で建物部分の評価額を確認する
  2. 国税庁から毎年発表されている路線価をもとに、土地部分の1㎡あたりの価格を調べる
  3. マンションの売買契約書または登記簿謄本で土地の持分割合を確認する
  4. 1㎡あたりの路線価と持分割合から土地部分の評価額を計算する
  5. 建物部分と土地部分を合計してマンションの評価額を算出する

しかし、マンションの評価額は実際に売れる金額よりも2〜3割低いといわれています。

一般的に土地部分の評価額は市場で売買されている価格の80%程度で設定されています。

また、マンションは上層階ほど高値がつくなどさまざまな要素で価格が決定するのです。

マンションの売却をしない場合や、大体の価格を知りたいというだけなら評価額でこと足りますが、マンションを売却する場合や相続人の間でマンション価格の合意がなされない場合は、専門家による正確な査定を受ける必要があります。

それでも、マンションの評価額は相続税の申告や納税の際に重要な数値であるため、査定や鑑定を受ける場合でも計算をしておいた方がよいでしょう。

査定を依頼する

相続したマンションの価格を調べるのにもっとも一般的なのは、不動産会社に査定を依頼する方法です。

不動産会社の査定は、売却の媒介契約のチャンスを得るために無料で行われています。

査定は売却することが前提で行われるサービスですが、査定結果によっては売却しないという選択もできます。

不動産会社に査定してもらっても、マンションを売却する以外の選択肢を選べるので積極的に活用するとよいでしょう。

不動産会社の査定は、評価額や不動産鑑定よりも実際に売れる金額にもっとも近いため、相続人同士の合意が得られやすい方法です。

鑑定を依頼する

マンションの価格を知るには、有料で不動産鑑定士にマンションの価値を評価してもらう方法もあります。

不動産鑑定士によるマンションの鑑定費用は、40〜50万円が相場でかなり高額です。

その分、国家資格である不動産鑑定士が行うマンションの評価は法的効力を持ち、遺産分割が裁判に至ってしまった場合に行われることが多いです。

相続人同士でもめることがなければ、不動産鑑定をする必要はありません。

遺産分割でもめてしまい家庭裁判所に協議が持ち込まれたあるケースでは、裁判所の審判でマンションの競売による換価分割を命じられ、鑑定額の5割でしか落札されなかったという話があります。

このエピソードは、相続人同士の話し合いで円満に遺産の割合や分割方法が決まることが、結果的に全員の利益につながることを示唆しています。

【マンションの3つの査定方法】

項目評価額不動産査定不動産鑑定
目的国が公表している評価額がわかる不動産がいくらで売却可能かがわかる客観的な資産価値がわかる
依頼先自分不動産会社不動産鑑定士
費用無料無料有料
法的根拠になるかならないならないなる

マンションの査定方法についてもっと知りたい方は、費用や注意点について詳しく記載した以下の記事も参考にしてください。

【関連記事】

【査定費用は意外と…】マンションの査定にかかる費用と、売却時の注意点を解説

マンションの相続税の算出方法

マンションの売却が完了して正式な遺産額が出たら、他の遺産と合わせて相続税の計算をします。

最初に、以下の式で相続税の対象になる総額を計算します。

遺産総額-(被相続人の債務+葬式費用)+生前贈与加算=課税総額

続いて、課税標準となる遺産額を計算します。

課税総額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)=課税遺産総額

最後に、相続人ごとの税額を試算します。

法定相続人の法定相続分×税率=各人の相続税額

なお、相続税には基礎控除があるため、たとえば法定相続人が3人いる場合は、

基礎控除=3,000万円+600万円×3=4,800万円

なので、

このケースでは、課税総額が4,800万円以下であれば相続税はかかりません。

相続したマンションの査定方法にはどんなものがありますか。

公的な評価額をもとに自分で計算する方法と不動産会社に無料で査定してもらう方法、不動産鑑定士に有料で評価をしてもらう方法があります。

不動産鑑定が必要なケースはどんな場合ですか?

相続人の間で話がまとまらず家庭裁判所に協議が持ち込まれ、法的な効力のある不動産鑑定士の評価が必要な場合です。

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査定した相続マンションの4つの分割方法

マンションはそれ自体を相続人で分けられません。

そこで、マンションのように分けられない遺産を相続するときは以下の4つの方法を用います。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割
  • 共有分割

現物分割

現物分割はマンションや証券、車などの遺産を現金化せずそのままの状態で分け合う方法です。

たとえば、マンションは配偶者、証券は長男、車は次男というように現物のまま相続します。

現物分割ではマンションを誰か1人が相続する方法なので、正確に価格を査定する必要はありません。

そのため、評価方法や評価額の意見の違いなどのトラブルが発生しにくいです。

また、現物分割は相続した人の名義変更だけで済み、手続きが簡単です。

一方、それぞれの遺産の価値に差が生じるので、不公平を感じる相続人が生まれやすい方法でもあります。

代償分割

代償分割は一人がマンションを相続し、その他の相続人には相続分に相当する金額を現金で補填する方法です。

たとえば、マンションが2,000万円で相続人が兄弟2人の場合、マンションを相続した兄が弟に相続分に相当する1,000万円の代償金を支払います。

代償分割はマンションの相続分が、他の相続人に均等に金銭で補填されるため公平感が保たれます。

また、マンションを売却をしなくて済むため、マンションを売って売却益がでたときにかかる譲渡所得税が発生しません。

しかし、代償分割する場合はマンションを相続する人が他の相続人に支払う代償金を用意しなければならず多額の現金が必要です。

さらに、マンションの査定額によって代償金が変わるので、相続人全員が査定額に合意しなければ成立しません。

代償分割は公平性の高い方法ですが、マンション価値を評価する方法や査定額でこじれるとトラブルになる可能性をはらんでいます。

換価分割

換価分割は相続したマンションを売却して得た代金を、相続人で分ける方法です。

たとえば、相続人が3人いてマンションが6,000万円で売却できた場合、それぞれ2,000万円づつ分け合います。

そのままでは分けられないマンションを売却して現金化するので、遺産が公平に分割されトラブルの発生を防ぎます。

また、相続税が発生する場合、マンションを現金化するので納税資金を調達できます。

換価分割を効率的に推し進めるには、マンションをなるべく高値で相続税の納税期限までに売却する必要があり、そのエリアのマンション売却に強みを持つ不動産会社に相談するのがよいでしょう。

共有分割

共有分割は相続するマンションを複数の相続人で共有名義にする方法です。

たとえば、マンションを子ども3人で共有分割する場合、それぞれ1/3ずつの持分を登記によって明確に分けて相続できます。

共有分割は公平な遺産分割ができる一方で、相続人同士でもっともトラブルの発生しやすい方法です。

複数人で一つのマンションを共同管理するので、所有者間の意見の取りまとめが必要です。

特にマンションの売却を行うには全員の同意が必要で、考え方の違いなどから売り時を逃してしまうこともあります。

また、世代が変わると相続によりマンションの共有者が子孫へと広がり、数が増えて権利関係がより複雑になってしまいます。

その結果、「売りにくい」「貸しにくい」「住みにくい」という使い勝手の悪いマンションになる恐れがあるのです。

マンション相続の査定以降の流れ

相続したマンションを不動産会社に査定を依頼したあと、以下のような流れで相続の手続きを行います。

  • マンションの査定を行う
  • 遺産分割協議をする
  • 相続登記をする

査定を行う

不動産会社にマンションの査定を依頼する場合は、多くの人が3社以上の訪問査定を受けています。

訪問査定の前に、間取りや住所などのデータで簡単に査定が受けられる机上査定を行いましょう。

机上査定の結果から大体のマンションの価格を把握したあとで、不動産会社の訪問査定を受けます。

机上査定でおおよその価格をつかんでおけば、不動産会社に都合のよい査定額の提示をうけた場合、それをうのみにしてしまうことを防げます。

訪問査定で提示されるマンションの価格は、相続協議にとても重要な数値です。

より精度の高い査定額を出すために、以下の書類の準備をして訪問査定を受けましょう。

書類名内容
登記簿謄本法務局で入手可能
売買契約書・重要事項説明書手元にない場合は不動産会社に確認
マンションの管理費や修繕積立金、維持費がわかる入手可能支払額が記載されている書類
管理組合規約・大規模修繕工事計画共用部分の利用規約・劣化を修繕するための長期的な工事計画
修繕・リフォームなどの契約書マンションの専有部分の修繕やリフォームを行っている場合は用意
ローン残高証明書・ローン返済予定表年末時点でのローン残高を証明する書類
本人確認書類マイナンバーカードや免許証など

不動産会社の中には、媒介契約をとるために高額な価格を査定する不動産会社も見受けられます。

しかし、不動産会社の査定と実際に売れる価格は違います。

査定額が出たらその根拠を聞いて、答えに納得がいくかどうかでその不動産会社が真摯に査定を行っているかを見極めなくてはいけません。

査定で訪れた不動産会社の担当者にマンション売却についてわからないことをいろいろ質問して、その受け答えを見て熱心に仕事をしてくれそうな担当者なのかを判断しましょう。

訪問査定はどの不動産会社にマンション売却を任せるかの品定めをする場でもあるのです。

不動産査定には、築年数や周辺環境などの基本的なデータから査定を行う机上査定とマンションを訪問して実際の使用状況や設備、騒音などのトラブルがないかなどを確認する訪問査定の2種類があります。

相続したマンションの査定をする場合は、机上査定後に数社の不動産会社に訪問査定を依頼するようにしましょう

遺産分割協議をする

査定結果をもとに遺産の全体像が把握できたところで、どのように分けるのかを相続人で話し合います。

ここで、法定相続分や遺言による被相続人の意思を反映し、相続割合や分割方法を検討します。

マンションが実家の場合は、思い入れがあり売りづらいと思う人もいるかもしれません。

しかし、空き家になっているなら、固定資産税を払い続けるよりも売却して換価分割による相続が、公平で無駄のない方法です。

マンションの換価分割をする場合は、査定してもらった不動産業者の中から媒介契約を結ぶ会社を選定し売却を開始します。

相続登記をする

亡くなった被相続人の名義のままでは、マンションを売却できません。

マンションを売却するためには、相続人の中から一人を決めて相続登記をする必要があります。

相続登記は自分でも可能ですが、必要書類が多く手続きが複雑なので司法書士に依頼するのが一般的です。

相続登記にかかる費用は以下の通りです。

  • 登録免許税 固定資産税評価額の0.4%
  • 司法書士の費用  5〜10万円
  • 必要書類の取得費用 数千円程度

相続登記が済んだらマンションを売り出します。

マンションを相続する際の分割方法はどれが1番トラブルを避けられるの?

分割方法で1番トラブルを避けられるのは換価分割です。マンションを売却して現金化するので、マンションがいくらで売れたのか明白で相続人に公平に分けられます。

遺産分割でトラブルを防ぐための注意点はなんですか?

遺産分割でトラブルを防ぐ注意点は、共有分割を避けることです。共有分割したマンションは、売却するのに共有者全員の同意が必要で管理が難しく、トラブルが発生しやすいです。

マンション相続時の査定に関する注意点

相続したマンションの査定を不動産会社に依頼する場合、査定の精度を上げるために事前に知っておきたい注意点があります。

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事前に相場を確認しておく

マンションがどのくらいで売れそうか、相続人のなかで自分たちなりの相場観を形成しておくと相続の話し合いや売却が円滑に進みます。

マンション価格の相場は、レインズマーケットインフォメーションで同じエリアの似たような物件の実際に成約した価格がわかります。

また、suumoなどの住宅情報サイトで、現在売りに出ている条件に近い物件の価格を知ることができます。

査定前や相続の分割協議の前にマンションの大体の価格を相続人で共有しておけば、適切な相続の話し合いとスムーズな売り出し価格の決定ができるでしょう。

売却の方向性を伝える

訪問査定を受ける際は、前もって相続人で話し合っておいた「早く売りたい」「高く売りたい」などのマンション売却の方向性を不動産会社に伝えましょう。

その方が不動産会社はマンションの販売戦略を策定する際に、相続人の希望に沿ったものを立てやすくなります。

査定額の根拠を確認する

不動産会社の査定結果が出たら必ずその金額の根拠を聞いてください。

高い査定額を提示されたとしても実際にその価格で売れるとは限らないので、価格の根拠は非常に重要です。

査定を依頼した複数の不動産会社の中から媒介契約を結ぶ業者を選ぶときは、査定額の根拠が1番納得のいくところを選ぶとよいでしょう。

マンション相続時の査定に関するまとめ

マンションの相続で複数の相続人がいる場合、慎重に話を進めないともめてトラブルを招いてしまう恐れがあります。

それは、相続が発生した時点でそのマンションには複数の所有者がいるのと同じ状態だからです。

円満な相続のためには、マンションの精度の高い査定と相続人の間の冷静な話し合いが重要です。

マンションをはじめとする不動産は、それ自体を分けて相続できないものなので悩みは多いと思います。

そんなときは、不動産会社にいろいろ相談してプロのアドバイスを受けることをおすすめします。

不動産会社の査定の前に相続人で話し合っておかなければいけないことはなんですか。

マンション売却の方向性について決めておかなければいけません。「なるべく早く売りたい」「時間はかかっても高く売りたい」など希望を不動産会社に伝えておけば、希望に沿った販売戦略を立ててくれます。

査定後に大切なことはなんですか?

提示された査定額の根拠を聞いて、金額に妥当性があるかを確認しなければなりません。査定額は売却価格ではないので、必ずその金額で売れるものではないのです。
根拠を聞いて納得のいく回答を出した不動産会社と媒介契約を結ぶとよいでしょう。

マンションの相続のことは誰に相談するのがいい?

マンションの相続に困ったら不動産会社に相談することをおすすめします。不動産のプロなら問題解決の力になってくれるでしょう。

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滋野 陽造

執筆者

保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士

経歴:早稲田大卒。マスコミ広報宣伝業務・大手メーカー等のWebディレクターを経て、不動産関連業に従事。法令に則しながら、時流や現状も踏まえた解説をします

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