新築マンションを購入して数年住んだマンションがいくらで売れるのか、売却相場は自分でも簡単に調べられます。
しかし、大切なのは過去の取引事例や現在の売り出し価格からは汲み取れない取引の事情を考慮して、多角的な視点から本当の相場を把握することです。
この記事では、マンション価格に影響する要因や新築マンション市場の動向をグラフを交えて詳しく解説しています。
築浅マンションの売却をご検討中なら売却時の注意点について参考になるため、最後まで読んでご理解いただくと良いでしょう。
新築マンションの売却相場を決める要素とは
新築マンションを売却する際の売却相場は、主に建っているエリアや築年数に左右されますが、希少性や良いクチコミなどによって上昇する場合もあります。
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エリアによる違い
日本全体の売却価格の傾向でいえば関東圏がもっとも高く、特に東京都がその他の地域と比べても高いといえます。
大都市圏でいえば、通勤や買物などで利用する主要な駅へのアクセスが良く人口が多いエリアは、マンション需要が高くなるため売り出し価格も成約価格も高い傾向です。
さらに自治体単位のエリアであれば、下記のような条件を多く満たすほど高額になります。
- 交通の利便性が高い
- 駅からの距離が近い
- 人気の地名や地域にある
- 人気の学校区内にある
- 周囲の景観や眺望が良い
- スーパーや商業施設が多い
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築年数による違い
マンション価格は、一般的には築年数が経過するにつれて価格は下がっていきます。
そして、居住者が長年使用すれば設備や壁・床・天井などが劣化してトレンドにも合わなくなるため、買主がリフォームしなければ住めない状態です。
特に築10年を過ぎると、設備の老朽化や時代遅れのデザインが原因で、購入希望者がリフォームを必要とする場合があります。 さらに、築10年以降は大規模修繕の費用が増えるため、修繕積立金が増額されることや、築年数から古さを感じる年数なので次第に人気がなくなっていきます。
ただし、2022年12月から過去10年ほど遡れば、新築マンションや中古マンションの平均価格は上昇傾向が続いており、一部のマンションでは新築時の価格を上回る中古価格がつくこともあります。
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その他の要因による違い
価格に影響するもう一つの大きな要因としては、人気の有無や人気度合いです。
例えば、「住みたい街ランキング」や「子育てに優しい自治体ランキング」などアンケートの上位に入ったことで価格が高騰する場合があります。
また、クチコミが良いマンションや滅多に売りに出ないマンションなど、人気や希少性なども価格変動に大きな影響を与えています。
新築マンションの売却相場を自分で調べる5つの方法
過去の成約事例や現在の売り出し価格は、ネット環境とパソコンなどがあれば自分でも簡単に調べられます。
- レインズ・マーケット・インフォメーション
- 不動産情報ライブラリ
- 不動産ポータルサイト
- 大手分譲会社のサイト
- 不動産会社に聞く
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売却相場の調べ方(1)レインズ・マーケット・インフォメーション
売主側の売却活動を行ってマンションを成約させた不動産会社は、不動産会社専用の情報サイト(レインズ)に、売却結果を取引事例として登録しなくてはなりません。
そうやって不動産会社が登録し蓄積された取引事例は、ネット環境とパソコンなどがあれば誰でも利用できるサービス「レインズ・マーケット・インフォメーション」から閲覧できます。
このサービスの利用方法やサイトURLについては別の記事で詳しく解説しておりますので、併せてそちらをご覧ください。
▶「新築マンションへの住み替えは〇〇?これだけは抑えたいメリットとデメリット」
売却相場の調べ方(2)不動産情報ライブラリ
不動産情報ライブラリとは、国土交通省が運営する取引事例を集めたサイトです。
以前は「土地総合情報システム」という名前のサイトでしたが、令和6年3月末で廃止しています。元々あった情報は不動産情報ライブラリに掲載しています。
レインズ・マーケット・インフォメーションと同様に、ネット環境とパソコンなどがあれば24時間いつでも会員登録しなくとも無料で利用できるサービスです。
不動産売買によって新所有者になった買主へ任意のアンケートが送られ、買主が返答した購入価格などの回答データが蓄積されています。
このサービスサイトURLやデータの信憑性などについては別の記事で詳しく解説しておりますので、併せてそちらをご覧ください。
売却相場の調べ方(3)不動産ポータルサイト
不動産ポータルサイトとは、マンション購入希望者が自分の好みの条件に合うマンションを検索して探し出せるサービスで、大手のサービスとしては「SUUMO」や「athome」や「LIFULL HOME’S」などがあります。
このサービスに掲載された情報の参照方法や注意点については別の記事で詳しく解説しておりますので、併せてそちらをご覧ください。
売却相場の調べ方(4)大手分譲会社のサイト
大手マンションデベロッパー(事業主)のサイトでは、各社が分譲している新築マンションやこれから発売されるマンションの情報が検索できます。
現行の新築マンション価格を知っておけば、その価格が新築マンションの売却相場の上限額と考えることができるため、築浅マンションの売却を検討している方なら知っておいて損はないでしょう。
ただし、デベロッパーサイトから資料請求などで情報を入手する際には、ほとんどの場合で請求者の情報を登録しなければなりません。
もし、あとから別の要件で連絡や封書が届くと困る方は、登録をしてまで資料請求をすべきかよく考えてから行いましょう。また、現在売り出し中の新築マンションなら販売会社から資料をもらったり聞いたりする方法もあります。
売却相場の調べ方(5)不動産会社に聞く
最後は不動産会社に聞く方法ですが、これがもっとも正確な売却相場を得られる方法です。
というのも、マンションがいくらで売れるのかは競合物件との比較によって決まりますが、この比較評価を日常的に行って売却相場を把握しているのが不動産会社だからです。
この場合に、過去の取引事例や競合物件の動向から推測する簡易査定(机上査定)なら無料で応じてくれる場合があります。
もしも実際に売却する前提の訪問査定を依頼するなら、不動産会社のなかには査定根拠として「東京カンテイ」という有料のマンション価格査定サービスを利用している場合があるため、より正確な売却相場を知ることができるでしょう。
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自分で新築マンションの売却相場を調べる際の注意点
過去の取引事例から分かるのはいつの時点でいくらで売却されたかという事実だけで、売主および買主にどのような事情があり時期や市場がどのような状況だったかという情報は汲み取れません。
新築マンションの売却相場を調べる際には、単に過去の取引事例や現在の売り出し価格を確認するだけでは不十分です。これらのデータは「どのような事情でその価格がついたのか」という背景情報を必ずしも含んでいません。したがって、売却相場を正確に把握するためには以下の点に注意する必要があります。
背景情報の把握
例えば、2022年7月に売り急いだ売主が値下げして4,000万円で売却した事例があったとしても、2023年1月には市場の状況が変わり、同じマンションがもっと高値で売れる可能性もあります。
過去の取引事例は、売主や買主の事情、市場の状況、経済環境など多くの要因が影響しているため、単純に価格だけを見るのではなく、その背景を理解することが重要です。
売却相場と実際の売却価格のギャップ
現行の売り出し価格も、マーケットにおける競争状況や売主の事情などに左右されるため、実際の売却価格とは異なることがあります。
売り出し価格が高めに設定されている場合、売主が交渉の余地を残している可能性があります。また、買主が競争して価格が上がる場合もあるため、常に市場の動向を把握し、相場を適切に判断することが必要です。
情報の信頼性と最新性
過去のデータや現在の価格情報は重要ですが、最新の市場動向や経済状況も考慮する必要があります。
2024年現在、例えば金利の変動や新たな税制改正、経済政策などが市場に影響を与える可能性があります。これらの要素を把握し、常に最新の情報を基に判断することが求められます。
新築マンションの売り出し価格や在庫状況について
新築マンションは、短期間の値動きでは下落する場面もありますが、長期的な価格変動でいえばおおむね右肩上がりで推移しています。
2024年の最新情報によると、新築マンションの売り出し価格は引き続き高値で推移しています。 人気の物件はすぐに完売することも多く、特に都心部ではその傾向が顕著です。
新築マンション売り出し価格の動向
2024年においても、首都圏や近畿圏では新築マンションの平均価格が高止まりしており、一部では更なる上昇傾向も見られます。 これは建設コストの上昇や土地の供給不足などが要因となっており、特に利便性の高いエリアでは価格がさらに上昇しています。
令和元〜3年の新築マンションの㎡単価は、首都圏では高値と安値の価格差が極端ですが、近畿圏は年間をとおして堅調に上昇しています。
また、新築マンションの平均価格は首都圏で令和3年(2021年)の年末には上昇から下落に転じていますが、近畿圏は年間をとおして僅かに上昇しています。
引用:土地に関する動向|国土交通省
新築マンション供給戸数の動向
令和3年(2021年)のマンション新規供給戸数は下記のように全ての圏域で前年よりも増加しました。
- 首都圏:33,636戸(前年比23.5%増)
- 近畿圏:18,951戸(前年比24.7%増)
- その他:24,965戸(前年比42.8%増)
なお、下グラフは平成元年(1989年)から続く新築マンションの供給戸数の推移です。
引用:土地に関する動向|国土交通省
2024年含め、この数年の供給戸数は横ばいまたは減少傾向にあり、特に大都市圏では供給不足が懸念されています。そのため、築浅マンションの相対的な価値は維持され、売却時の優位性も保たれているといえるでしょう。
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新築マンションの成約スピードの変化
下グラフは平成元年から約30年間の首都圏・近畿圏のマンション在庫戸数と契約率の推移です。
なお、成約率とは売り出し月内に成約した即完売率と読み替えられる率で、在庫戸数とは過去5年間に売り出されたものの売れ残っている在庫の戸数です。
引用:土地に関する動向|国土交通省
令和3年(2021年)の首都圏は中古マンションの在庫戸数が減って契約率が向上していますが、反対に近畿圏では在庫戸数が増えて契約率は鈍化しました。
近年の傾向として、新築マンションの成約スピードが速まっています。 これは供給戸数の減少と相まって、人気物件が短期間で売り切れるためです。特に首都圏では、中古マンションの在庫減少もあり、成約率が上昇しています。
築5年〜築30年以上の価格下落率と年代ごとの売却状況
東京都の築年数による成約価格と価格下落率の関係は下表のようになります。
【 東京都 】築年数 | 成約価格 | 価格下落率 |
---|---|---|
〜築05年 | 7,984万円 | ー |
〜築10年 | 7,136万円 | 10.62% |
〜築15年 | 6,538万円 | 8.38% |
〜築20年 | 6,301万円 | 3.62% |
〜築25年 | 5,651万円 | 10.32% |
〜築30年 | 4,305万円 | 23.82% |
築30年〜 | 3,114万円 | 27.67% |
引用:REINS TOPIC 2023年1〜3月版|東日本不動産流通機構
上表から東京都の築年数と成約価格および価格下落率の関係は下グラフのようになります。
東京都の中古マンションは築浅のほうが下落率が大きく、築20年までは緩やかに下落していきますが、築20年を境に再度大きく下落しているのが分かります。
東京都は新築マンションの供給量が他府県に比べて多いため、新築から中古になった瞬間に「新築プレミア」と呼ばれる資産価値が無くなって価格が大きく下落したと考えられます。
一方で、首都圏全域まで範囲を拡大した築年数による成約価格と価格下落率の関係は下表のようになります。
【 首都圏 】築年数 | 成約価格 | 価格下落率 |
---|---|---|
〜築05年 | 6,704万円 | ー |
〜築10年 | 6,304万円 | 5.97% |
〜築15年 | 5,765万円 | 8.55% |
〜築20年 | 5,318万円 | 7.75% |
〜築25年 | 4,648万円 | 12.60% |
〜築30年 | 3,374万円 | 27.41% |
築30年〜 | 2,318万円 | 31.30% |
引用:REINS TOPIC 2023年1〜3月版|東日本不動産流通機構
上表から首都圏の築年数と成約価格および価格下落率の関係は下グラフのようになります。
首都圏の中古マンションは、築20年までは緩やかに下落していき、築20年を境にさらに大きく下落しており、下落率の大小はあるものの築年数に応じて価格が素直に下落しています。
東京都も首都圏も、築15〜25年の価格下落率が低くそれ以降に大きくなるのは下記の要因によって需要や売却状況が変わるからです。
- 住宅ローン控除制度が使えるマンションは築25年まで
- マンションで35年の住宅ローンを組むなら築12年まで
そのため、築年数が古くて制度の要件から外れるマンションは急激に需要が落ち込み価格が大きく下落していきます。
ただし、2022年の法改正から住宅ローン控除の対象要件だったマンションの築年数の制限は廃止されています。
新築マンションを売却する際の注意点
新築マンションを購入して数年住んだ築浅マンションは、売却価格が高くて需要も多いため売却に苦労しないように感じますが、築浅マンションだからこそ注意すべき点もあります。
オーバーローンではマンションは売れない
マンションの売却金で住宅ローンが完済できない状態は「オーバーローン」と呼ばれますが、ローンを完済しないと「抵当権」が抹消できないため、マンションは売却できません。
新築マンションから数年住んだ築浅マンションは、ローンの返済期間が短いために元本が思うように減っておらず、オーバーローンになりやすい時期といえます。
このような場合には、ローン返済に足りない分を自己資金でまかなうか、不足分も含め買い替え先のマンションの購入資金と合算して借り入れる「住み替えローン」が使えなければマンションの売却は難しいでしょう。
高額の築浅マンションは諸費用も高額になる
マンションの売却では、仲介手数料や税金(印紙税・登録免許税)など、諸費用として売却金額の3〜4%(5,000万円で売却するなら約150万円)がかかります。
築浅マンションは売却金額も諸費用も高額になり、特に諸費用は現金で用意して一括で支払わなければならないため注意が必要です。
売り出し時期を誤って安い時期に売却している
いくら高額で売れやすい築浅マンションであっても、春の異動時期ではない時期やライバル物件が同時にたくさん売りに出ている時期には価格が大きく下がってしまいます。
高額で売れやすい春の異動時期などの需要が高い時期に合わせて、ライバル物件が売り出す前に早く仕掛けて、少しでも高く売れるように行動しましょう。
売り出し価格が相場から大きくかけ離れている
相場よりも売り出し価格が安すぎれば損をしますが、相場よりも高くしすぎても損をする場合があります。
相場より高すぎて問い合わせも内見もなく売却期間が長くなると、売れ残りマンションという悪いイメージが定着してしまい、少々値段を下げたくらいでは売れなくなります。
高く売りたいからと相場価格まで下げず高値のままで頑張ったことがかえってマイナスに働き、結果的に相場よりも遙かに安い値段でしか売れないとうケースは少なくありません。
ですから、不動産会社が根拠を示して提示した売却相場は、確度の高いプロの意見として受け入れることも大切なのです。
売り急いでいると大幅な値下げを受け入れやすい
春の異動シーズン内に売却できなかった場合や、ライバル物件が多くて値下げ競争になってしまった場合など、売主側が焦ってしまい厳しい交渉を受け入れてしまうことがあります。
状況に合わせて柔軟に変化しなければならないとはいえ、納得感のある最低価格を決めずに減額交渉に臨むと、雰囲気に飲まれて想定外の価格で決着してしまうのでしょう。
売れ残るかも知れないという恐怖感は理解できますが、不動産会社とよく相談して事前に交渉幅を決めておけば、厳しい値下げ交渉にも落ち着いて対応できます。
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【まとめ】築浅マンション売却の資金計画は不動産会社のサポートで正確に行いましょう
新築マンションを売却する前に、ネットを使って自分で取引事例やライバルマンションの売り出し価格から、売却相場を推測することはできます。
しかし、正確な売却相場を得るためには、売却価格に影響するさまざまな要素を理解して、不動産会社の売却査定を依頼する必要があります。
新築マンションや中古マンションの相場が上がっている2024年7月現在ではマンションは売り時といえますが、築浅マンション特有の注意点をよく理解しておきましょう。
プロレバ不動産なら、最短1週間でマンションを売却し、現金化できます。
また、宅建資格等の資格保有者である専任の「買取アドバイザー」が、税金・法律・売却価格の面で最適な売却を提案するので、納得のうえでスピーディーにマンションを売却可能です。
さらに、独自の販売網があるので、他社よりも平均して15%高値での売却を実現しています。
柴田敏雄(しばたとしお)
執筆者
保有資格:宅地建物取引主任士、管理業務主任者
経歴:司法書士事務所に2年、大手不動産管理会社に5年、不動産賃貸・売買の仲介営業会社に7年間従事し不動産全般の幅広い経験を積む。また外資系金融機関に2年間従事し金融資産形成や相続税の節税アドバイスを提供。不動産や金融の現場で培った経験を元に不動産系の記事を執筆している。