マンションが築20年を迎えるタイミングは売却を検討する上で適切な時期です。さらに築年数が経過すると売却価格の相場は大きく低下するので、少しでも高く売りたい場合は築20年頃までの売却がおすすめです。
この記事では中古マンション取引の現状や築20年のマンションを売却するメリット・デメリット、売却価格の相場、売りに出すときの注意点について解説します。
マンションを築20年で売ることのメリットは何ですか?
築25年や築30年になると売却価格の相場が一気に下がる傾向にあります。築20年で売却すれば、相場が下がった後に売却するよりも高い価格で売れる可能性が高くなります。
築20年のマンションが不動産取引市場で人気?中古マンション取引の現状
築20年のマンションの売却を検討する場合、最初に中古マンション取引の現状を調査して、自分のマンションを下記観点で見つめなおす必要があります。
- 売ろうとしている築年数のマンションは市場でどのように位置づけられているのか
- 売れやすいのか、売れにくいのか
そこでまずは中古マンション取引の現状を確認しましょう。
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中古マンションの成約物件の平均築年数は22年
レインズ(東日本不動産流通機構)によると、首都圏における中古マンションの成約物件の平均築年数は以下のように推移しています。
出典:レインズ
2021年の平均築年数は22.67年です。中古マンションの場合、平均的には築20年を過ぎた頃に売却される物件が多いことがわかります。
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築20年を超えた頃からマンションの売却価格は急激に下落する
レインズ(東日本不動産流通機構)によると、首都圏の中古マンション売却における築年帯別平均価格(2021年)は以下のとおりです。
出典:レインズ
グラフを見ると、築20年を超えた頃から価格の下がり方が急になっていることが分かります。築20年のマンションは、売りに出すのが数年遅れただけで売却価格の相場が大きく下がる可能性がある点に注意しましょう。
中古マンションの取引では、どれくらいの築年数の物件が最も多く売却されているのでしょうか?
首都圏では成約物件の平均築年数はおよそ22年です。築年数が25年や30年になると売却価格の相場が一気に下がるので、築20年前後が売却時期として適していると言えます。
築20年のマンションの売却相場と成約率
築20年のマンションを適切な価格で売りに出して売り切るには、売却相場をはじめとした各種データを確認しておくことが重要です。以下では、築20年のマンションの売却相場と成約率を紹介します。
売却相場
レインズ(東日本不動産流通機構)によると、首都圏の中古マンション売却成約価格の平均値は築16~20年の物件で4,685万円、築21~25年の物件で3,746万円です。
築20年前後のマンションは築年数が古いこともあり、築0~5年の物件(6,136万円)や築6~10年の物件(5,538万円)と比較すると売却価格の相場が低くなっています。売却する際、高い価格で売れることを過度に期待すべきではありません。
一方で、築26~30年の物件(2,275万円)と比較した場合、築20年前後の物件では売却相場が高くなっています。
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成約率
レインズ(東日本不動産流通機構)によると、首都圏の中古マンションの対新規登録成約率(2021年)は以下のとおりです。
出典:レインズ
築20年を超えた頃から成約率が下がることがわかります。新規登録された件数に対する割合で見た場合、築11~20年の物件では成約率は約28%で、4件に1件以上の割合で成約に至っている状況です。しかし築21~25年では成約率は20.7%、築26~30年にもなると14.1%で、およそ5~7件に1件の割合でしか成約に至っていません。
築年数が古くなるほど売れにくくなるので、中古マンションの売却を検討するなら、成約率が低下する前の築20年前後が適切な時期です。
築20年のマンションの売却価格の相場と成約率はどれくらいですか?
首都圏の場合、中古マンション売却における成約価格の平均値は築16~20年の物件で4,685万円、築21~25年の物件で3,746万円です。また築20年以内の物件であれば4件に1件以上の割合で成約に至っています。
築20年でマンションを売却するメリット
築20年のマンションの売却は、売主にとっても買主にとってもメリットがあります。主なメリットは以下のとおりです。
- 買い手が購入後に長期間にわたって居住できる
- 築年数が古い物件に比べて住宅ローン審査に通る可能性が高い
- 税制優遇措置の対象になって税金が安くなる
- 需要に対して在庫物件の数が少ない
それぞれ以下で解説します。
買い手が購入後に長期間にわたって居住できる
マンションの法定耐用年数は47年ですが、これは法的な耐用年数なので、実際には築50年以上でも住める物件があります。築50年まで住む場合、築20年のときに購入すれば30年間住める計算です。
一方で築30年や築40年のマンションを購入する場合は、築50年までの期間が10年や20年になり、築20年のマンションを購入する場合と比較すると短い期間しか住めません。買い手が購入後、長期間にわたって居住できる点は築20年のマンションのメリットです。
築年数が古い物件に比べて住宅ローン審査に通る可能性が高い
購入者がマンションを担保に住宅ローンを組みたいと考えても、築30年や築40年など築年数が古い物件では、売却価格の相場が低いことやそもそも売れにくいこともあり、担保としての価値が低いと見なされて住宅ローン審査に通らない場合があります。
しかし築20年のマンションなら、前述のとおり売却価格の相場が大きく下がる前の物件です。万が一返済が滞って担保であるマンションを金融機関が売却することになってもそれなりの価格で売れることが期待できるので、金融機関が担保としての価値を認めて住宅ローン審査を通過できる可能性が高くなります。
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税制優遇措置の対象になって税金が安くなる
住宅ローン控除の要件のひとつに「1982年1月1日以後に建築された物件であること」がありますが、2023年時点で築20年ならこの要件を満たします。
住宅ローン控除の適用を受けられれば税金が安くなり、購入後の税負担を軽減できる点が購入者にとってメリットです。
需要に対して在庫物件の数が少ない
中古マンション取引を築年数別に見た場合、首都圏では成約物件の割合と在庫物件の割合はそれぞれ以下のとおりです。
出典:https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1111533
築20年前後(築16~25年)の物件は、成約物件に占める割合では2割超ですが、在庫物件に占める割合では2割未満です。在庫に占める割合より高い割合で売れているので、需要のほうが相対的に多くて築20年前後のマンションが人気であることがわかります。
築20年でマンションを売却すると良い理由は何ですか?
買い手は長期間にわたって住める点や税制優遇措置の対象になる点がメリットで、売り手は需要に対して在庫物件の数が少なく売りやすい点がメリットです。
築20年でマンションを売却するデメリット
築20年のマンションにはメリットがある一方でデメリットもあります。主なデメリットは以下のとおりです。
- 設備の故障があれば対応や費用負担が必要な場合がある
- 契約不適合責任を追及される場合がある
- 仕様が古くて現代のニーズに合わないと売れにくい
それぞれ以下で解説します。
設備の故障があれば対応や費用負担が必要な場合がある
築20年にもなると設備に故障が出てくることがあり、売りに出す前に修理する場合や設備を交換する場合には費用がかかります。
築30年や築40年の物件と比較すれば築20年は老朽化が進んでおらず売りやすいことは事実ですが、たとえば給湯器の調子が良くない場合、修理や交換が必要になって費用がかかることがあります。
かかった費用の分だけ売り出し価格を高くした場合、無事に売却できれば費用を回収できますが、売り出し価格が高くなると売れにくくなるかもしれません。
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契約不適合責任を追及される場合がある
物件の引き渡し後に欠落や契約内容との相違が見つかると、売主が買主から契約不適合責任を追及されて、修理対応や修理費用の負担、損害賠償請求等を求められる場合があります。
たとえば設備機器の故障や水漏れが売却後に発覚して、修理代を売主が請求されて負担するケースです。築20年では設備に不具合が出始めることが多く、売却時に見落としたり相手に伝え忘れたりすることで、契約不適合責任を追及されるリスクが築浅物件より高くなります。
仕様が古くて現在のニーズに合わないと売れにくい
建物のデザインや設備は時代ごとに変わるので、20年前に建てられたマンションだと現在のニーズに合わず売れにくい場合があります。
外見が古臭く見えると売れにくくなり、オートロックや防犯カメラなど現在のマンションではよく見られるセキュリティ対策が施されていない物件では、購入希望者が不安を感じて購入をやめる場合があります。
築20年でマンションを売却するデメリットは何ですか?
物件の引き渡し後に欠落や契約内容との相違が見つかると売主が買主から契約不適合責任を追及される可能性があります。また仕様が古くて現在のニーズに合わないと売れにくいことがあります。
相場以上の価格で売れることも!築20年マンションの売却で重要なポイントとは?
中古マンションを少しでも高く売るためには、売りに出す際にいくつかおさえておくべきポイントがあります。主なポイントは次の4点です。
- マンションの売却相場を踏まえて適切な価格で売りに出す
- 安易にリフォームしない
- 汚れが目立つならハウスクリーニングを行う
- 中古マンション売却に強い不動産会社を探す
それぞれ以下で解説します。
マンションの売却相場を踏まえて適切な価格で売りに出す
マンションの売却相場は築年数によって変わりますし地域差もあります。築20年のマンションを売りに出す場合、同程度の築年数の物件が地域でどれくらいで売りに出されているのか、相場を確認して適切な売り出し価格を設定することが大切です。
相場からかけ離れた高い価格で売りに出すと買い手が見つからずいつまでも売れませんし、逆に安すぎる価格で売りに出すと、適正な価格との差額分だけ損をします。
安易にリフォームしない
リフォームをすれば綺麗になって売りやすくなると考えるかもしれませんが、リフォーム費用を売り出し価格に上乗せして回収しようとすると、価格が上がって売れにくくなります。リフォーム費用は数百万円かかる場合があるので、その分だけ中古マンションの魅力のひとつである「安さ」が損なわれる点に要注意です。
中古マンションの購入希望者の中には「安く買ってリフォームは購入後に自分でやりたい」と考える人もいるので、築20年のマンションを売却する場合はリフォームをせず売りに出すほうが良いでしょう。
汚れが目立つならハウスクリーニングを行う
汚れが目立つまま売りに出すと、内見の際に購入希望者の印象が悪くなって売れにくくなります。リフォームはしないにしてもハウスクリーニングは行うほうが良いでしょう。
たとえば風呂や洗面台にカビがある状態やキッチンに油汚れが残った状態では印象が悪いので、ハウスクリーニングによって綺麗にしてから売りに出すことをおすすめします。
中古マンション売却に強い不動産会社を探す
築20年のような築年数が経っている物件は、築浅物件と比較すると成約率が下がって売れにくくなります。売りに出す際、売り出し価格の設定を誤ったり広告を出す際のターゲット層の設定を誤ったりすると、さらに売れにくくなって買い手が見つからない事態にもなりかねません。
築20年のマンションを売却するなら、中古マンション売却に強い不動産会社を探して依頼することが大切です。中古マンション売却の経験が豊富な不動産会社なら売り出し価格を適切に設定して、過去の取引実績をもとに販売戦略の立案・検討をしてもらえます。
築20年のマンション売却ではどんな点を意識すべきですか?
売却価格の相場を踏まえて適切な価格で売りに出すことや、リフォームはせず売りに出すことがポイントです。不動産会社を探す際は中古マンション取引に強い会社を探しましょう。
築20年のマンションを売りに出すときの注意点
築20年のマンションを売りに出す際に対応を誤ると、売却後に買主とトラブルになる場合や相場より安い価格で売ってしまって後悔する場合があります。以下では中古マンション売却の注意点を解説します。
不具合があれば必ず告知する
売却後に不具合が見つかると、トラブルになったり裁判沙汰になったりするリスクがあります。契約不適合責任を追及されないように、不具合があれば必ず相手に伝え、また不具合がある箇所を見落とさないように入念に確認することが大切です。
どこに不具合があるのか専門家によるチェックを受けるほうが良いので、売りに出す前にインスペクションを受けることを検討してみてください。
査定は複数の不動産会社に依頼して比較する
同じ物件でも査定結果は不動産会社ごとに異なります。査定額にかなりの差が出る場合があるので、築20年のマンションを売りに出すなら複数の不動産会社に依頼して比較することが大切です。
いくつもの不動産会社に連絡したり査定依頼をしたりする手間を面倒に感じて1社にしか依頼しないと、提示された査定価格が適切な価格なのか判断や比較ができません。
築20年のマンションの売却で注意すべき点はありますか?
不具合がある箇所は売却前に確認し、買主にしっかりと伝えておく必要があります。また査定は複数の不動産会社に依頼して提示された価格を比較しましょう。
売りに出してもマンションを売却できない場合は?
中古マンションは築20年を過ぎた頃に売りに出されることが多く、築20年は売却時期として適切な時期といえます。しかし、そうはいっても売りに出して絶対に売れるとは限りません。売却できない場合は、賃貸に出したり不動産会社に買取を依頼したりするなど追加の対応の検討が必要です。
賃貸に出すと売り時を逃す可能性がある点に注意が必要
売りに出して買い手が見つからない場合でも、賃貸に出せば借り手が見つかるというケースはありますが、賃貸に出すと売り時を逃す可能性があります。
築年数がさらに経って築25年や築30年になると成約率が下がって売れにくくなりますし、一度賃貸に出して他人に貸すと売却するにはまず立ち退いてもらわなければならず、自分の好きなタイミングで売却できなくなる点に注意が必要です。
また、売却価格の相場より少し下げることで買い手が見つかりそうなら、築20年のうちに売っておくほうが良い場合があります。築20年を過ぎて売却相場が大きく下がった後に改めて売ろうとすると、安い価格でしか売れず「築20年のときに売っておけば良かった」と後悔することがあります。
不動産会社による買取という選択肢も
中古マンションの売却方法には、不動産会社に売却の仲介を依頼する方法だけでなく買取という方法もあります。マンションの売却の仲介を依頼する場合は不動産会社に買い手を探してもらいますが、買取では不動産会社にマンションを買い取ってもらいます。
買取の場合は仲介による売却に比べて価格が下がる点がデメリットですが、仲介のように買い手が見つかるまで待つ必要はなく、比較的早く売却できる点がメリットです。売りに出しても売れそうにない場合、どのタイミングで売却を諦めて買取を決断すべきか一概にいつとは言えませんが、どうしても売却が難しければ買取を検討しましょう。
マンションを売却できない場合はどのような対応方法が考えられますか?
賃貸に出すことや不動産会社に買取を依頼することが考えられます。ただし賃貸に出すと売り時を逃す可能性がある点に注意が必要です。
まとめ
築20年でマンションを売却できれば、その後に売却価格の相場が一気に下がってから売るより高く売れる可能性があります。同程度の築年数のマンションがどれくらいで売りに出されているのか、地域のマンションの売却価格相場を確認した上で、売り出し価格を適切に設定して売りに出しましょう。
マンションを少しでも高く、そしてしっかりと売り切るためには、中古マンション売却で重要になるポイントをおさえて売却を進めることが大切です。不動産会社は中古マンション売却に強い会社を探し、リフォームはしないものの汚れが目立つならハウスクリーニングを行うなど、今回ご紹介したポイントをおさえながら売却を進めましょう。
築20年のマンションを相場以上で売却するためのコツは何ですか?
売却価格の相場を踏まえて売り出し価格を適切に設定し、仲介を依頼する不動産会社は中古マンション売却に強い会社を探しましょう。不動産会社に査定を依頼する際には複数の不動産会社に依頼して比較することも大切です。
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